リチャード・テンプル (初代コバム子爵)

初代コバム子爵リチャード・テンプル

初代コバム子爵リチャード・テンプル（Richard Temple, 1st Viscount Cobham, 1675年10月24日 - 1749年9月14日）は、イングランド及びイギリスの軍人、政治家、そして貴族として名を馳せました。彼は、スペイン継承戦争での実戦経験を経て、四国同盟戦争ではイギリス軍を指揮するなど、その軍事的な才能を発揮しました。最終的には陸軍元帥の地位にまで昇りつめ、その生涯を国に捧げました。

生涯

1675年10月24日、リチャード・テンプルは、第3代準男爵サー・リチャード・テンプルとその妻メアリー（旧姓ナップ）の長男として誕生しました。彼の軍人としてのキャリアは1685年に始まり、1689年から1691年にかけては、ウィリアム3世のもとでアイルランドへ出征しました。その後、1697年の大同盟戦争終結までネーデルラントで戦いました。また、1694年にはケンブリッジ大学クライスツ・カレッジを卒業しています。

1697年5月に父が亡くなると、彼は第4代準男爵位を継承し、同年にはバッキンガム選挙区から選出され、庶民院議員となりました。その後も1713年まで、同選挙区やバッキンガムシャー選挙区から選出され、政治家としての地位を確立しました。

1702年にスペイン継承戦争が勃発すると、彼はマールバラ公ジョン・チャーチルの軍に従軍し、ヨーロッパ各地を転戦しました。1708年1月1日には少将に昇進し、同年7月のアウデナールデの戦いや、同年8月から12月にかけてのリール包囲戦に参加し、特にリール包囲戦では目覚ましい戦功を上げました。

1710年1月には中将に昇進し、アン女王のデンマーク竜騎兵連隊の連隊長に就任しました。しかし、1712年にトーリー党政権によって司令官が交代すると、彼はマールバラ公の支持者であり、ホイッグ党員であったため、戦場の指揮を外され、竜騎兵連隊の連隊長職も解任されました。

1714年にジョージ1世が即位し、政権が交代すると、彼は再び昇進の機会を得ました。同年10月にはグレートブリテン貴族爵位コバム男爵に叙され、王立竜騎兵連隊の連隊長に就任しました。1716年には枢密顧問官に列せられました。

1718年5月には、グレートブリテン貴族爵位コバム子爵とコバム男爵に叙されました。これらの爵位には、妹のヘスターとクリスティアンへの特別継承権が認められていました。1719年9月には、四国同盟戦争でイギリス軍を率いてスペイン北部へ侵攻し、ビーゴを占領して海軍施設を破壊するなどの戦功を挙げました。

1721年に国王所有騎兵連隊の連隊長に就任しましたが、1733年には首相ロバート・ウォルポールと対立したため辞職しました。しかし、彼の昇進は妨げられることなく、1735年10月には大将、1742年3月には元帥に昇進しました。また、1728年から1738年にかけてはバッキンガムシャー知事を務めました。

ウォルポール退陣後の1742年12月には、騎馬擲弾近衛連隊第1騎兵中隊の連隊長に就任しましたが、1743年12月に大陸への派兵計画に反対して辞職しました。しかし、1744年8月にはコバム子爵の騎兵連隊の連隊長に就任しました。

1749年9月13日に、リチャード・テンプルはその生涯を閉じました。子供がいなかったため、1714年に創設されたコバム男爵位は廃絶されましたが、1718年創設のコバム子爵位とコバム男爵位は、特別継承権により妹ヘスターに継承されました。また、準男爵位は男性親族のウィリアム・テンプルに継承されました。

栄典

爵位/準男爵位
1697年5月: 第4代ストーのテンプル準男爵 (1611年創設イングランド準男爵位)
1714年10月19日: 初代コバム男爵 (グレートブリテン貴族爵位)
1718年5月23日: 初代コバム子爵、初代コバム男爵（グレートブリテン貴族、妹ヘスターとクリスティアンへの特別継承権付）

家族

アン・ハルジーと結婚しましたが、子供はいませんでした。

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