リッチモンド・K・ターナー

リッチモンド・ケリー・ターナー

リッチモンド・ケリー・ターナー（Richmond Kelly Turner, 1885年5月27日 - 1961年2月12日）は、アメリカ合衆国の海軍軍人であり、最終階級は海軍大将です。第二次世界大戦中、ソロモン諸島の戦いから沖縄戦に至るまで、数々の重要な上陸作戦を指揮しました。

生涯

幼年期から青年期

1885年、ターナーはオレゴン州ポートランドで、8人兄弟の7番目の子として生まれました。父方の祖先はイングランド系で、アメリカ独立戦争以前からメリーランド植民地に住み着いた農家でした。父はゴールドラッシュで賑わうカリフォルニア州ストックトンで商店を営み、後にポートランドで週刊誌を発行していました。母方の祖先はアイルランド系で、アメリカ独立戦争以前にペンシルベニアに移住し、後に西部に移りました。ターナーはストックトンで幼少期を過ごし、1904年にストックトン・ハイスクールを卒業しました。

ターナーは学業優秀で、下院議員の推薦を受け、1904年に海軍兵学校に入学しました。同期にはマーク・ミッチャーやトーマス・C・キンケイドらがおり、彼らは「アナポリス1908年組」と呼ばれました。ターナーはアナポリスで優秀な成績を修め、卒業時には201名中5位でした。

軍歴

卒業後、少尉候補生となったターナーは、グレート・ホワイト・フリートの世界一周に参加しました。その後、防護巡洋艦や駆逐艦、装甲巡洋艦に乗り組みました。1910年に少尉に任官し、ハリエット・スターリングと結婚しました。1913年には中尉に進級し、駆逐艦の艦長を務めました。その後、砲艦での勤務や砲術に関する訓練、サントドミンゴ派遣などを経験し、戦艦の砲術士官も務めました。

1919年、少佐に昇進したターナーはワシントン海軍工廠に転任しました。その後、戦艦の砲術長や駆逐艦の艦長を歴任し、1925年には中佐に昇進して海軍省兵站局に勤務しました。兵站局時代、ターナーはウィリアム・A・モフェット少将の勧めで海軍飛行学校でパイロットの訓練を受け、1927年に免許を取得しました。その後、水上機母艦の艦長やアジア艦隊の水上機部隊指揮官などを務めました。アジア艦隊時代には、フィリピン各地の偵察を行い、仮想敵国である日本への対策を研究しました。その後、海軍航空局計画課長、空母の副長などを経て、海軍大学校で教官を務めました。

海軍大学校時代に大佐に昇進したターナーは、将官への昇進のために重巡洋艦「アストリア」の艦長を務めました。「アストリア」は、斎藤博駐米大使の遺骨を日本に礼送する任務に従事し、その際ターナーは日本政府から勲三等瑞宝章を授与されました。

第二次世界大戦

1940年、ターナーは海軍作戦部長の下で戦争計画部長に就任し、少将に進級しました。真珠湾攻撃に関する情報がターナーによって握りつぶされたという指摘もありますが、詳細は不明です。

1942年、ターナーは合衆国艦隊の参謀副長に就任し、太平洋戦線での作戦を立案しました。その後、ソロモン諸島での上陸作戦の指揮官に抜擢され、ガダルカナル島の戦いを指揮しました。しかし、第一次ソロモン海戦では日本艦隊の奇襲を許し、大きな損害を出しました。その後もソロモン方面での上陸作戦を指揮し、1943年に中部太平洋方面に転じました。中部太平洋では、ガルヴァニック作戦、クェゼリンの戦い、マリアナ・パラオ諸島の戦いなど、数々の重要な上陸作戦を指揮しました。1945年には硫黄島の戦いと沖縄戦を指揮し、太平洋戦争における上陸戦の主要な立役者となりました。

戦後

終戦後、ターナーは将官会議議長を務め、国連軍事委員会のアメリカ海軍代表となりました。1947年に退役し、1961年に75歳で亡くなりました。ターナーは、太平洋戦線をともに戦ったニミッツ、スプルーアンスらとともに、ゴールデン・ゲート国立墓地に眠っています。

人物

ターナーは、「テリブル」という渾名で呼ばれるほど、強烈な性格の持ち主でした。自己主張が強く、時に周囲との摩擦を引き起こしました。また、アルコール依存症とも言えるほどの酒好きであり、そのことが原因でトラブルを起こすこともありました。

性格

ターナーは、アナポリスでは学業優秀でしたが、素行面では問題もありました。強い性格で、仕事熱心でしたが、協調性や我慢強さに欠ける面がありました。部下に対しては厳しく、他の士官の意見に耳を傾けないこともありました。そのため、周囲からは「威圧的」や「パットンのようだ」と評されることもありました。

ターナーの性格は「諸刃の剣」であり、周囲との摩擦を引き起こすこともありましたが、その強烈な性格が勝利への原動力となった側面もありました。

酒好き

ターナーは、酒好きとしても知られていました。ガダルカナル戦の頃から酒浸りになり、それが原因で醜態を晒すこともありました。終戦後の降伏文書調印式では、「出来上がった状態」で現れ、周囲を困惑させました。退役後も酒が手放せませんでしたが、75歳まで生きました。

その他

ターナーは、妻のハリエットを深く愛し、彼女の夢を叶えるために尽力しました。また、愛犬を可愛がっていたと言われています。

リーヒ級ミサイル巡洋艦の5番艦「リッチモンド・K・ターナー」は、彼にちなんで命名されました。

ターナーは、その強烈な個性と功績から、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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