リバー級フリゲート

リバー級フリゲート：戦時量産を可能にした革新的フリゲート

リバー級フリゲートは、第二次世界大戦中にイギリス海軍が建造したフリゲート艦です。当初は「高速コルベット」として計画されていましたが、後に「二軸コルベット」と改称され、1943年2月にはコルベットの上位艦種である「フリゲート」として再分類されました。この艦級は、近代的なフリゲート艦の先駆けとして、その後の艦艇設計に大きな影響を与えました。

開発の背景

戦間期のイギリス海軍は、ロンドン海軍軍縮条約の制限が緩いスループを船団護衛に用いていました。グリムスビー級、ビターン級、イーグレット級、ブラックスワン級といったスループが順次整備されていましたが、これらの艦は複雑な設計で、戦時中の大量建造には不向きでした。そのため、小型で局地防衛用のフラワー級コルベットが建造されましたが、外洋での活動能力が不足していました。

より大型で外洋での活動に適した、かつ量産性に優れた護衛艦の必要性が高まりました。1940年11月、第一海軍卿の会合で、フラワー級の機関を用いたA案と、ブラックスワン級の機関を用いたB案が検討されました。最終的にA案が採用され、リバー級フリゲートが誕生しました。カナダとオーストラリアも、この計画に早期から関与し、自国で同型艦を建造しました。

設計の特徴

設計はわずか2週間で完了しました。船体はブラックスワン級とハルシオン級掃海艇をベースとし、長船首楼型を採用することで艦内容積を確保しました。量産を容易にするため、商船規格で設計されましたが、フラワー級の反省から、居住性は軍艦に準じたものとしました。

外洋での使用を考慮し、20ノットの速力を発揮できるよう、プロペラが海面上に露出しにくい設計が採用されました。また、凌波性向上のためにフレアとシアが設けられ、ローリングを抑制するために船体中部は角型とされ、深いビルジキールも備えられました。

機関はフラワー級のものを2セット搭載し、2軸推進方式を採用しました。一部の艦では、パーソンズ式タービンが搭載され、出力が強化されました。初期の建造艦では重油搭載量が440トンでしたが、後期建造艦では646トンに増大され、航続距離が大幅に延伸されました。

装備

レーダーとソナー

当初は対空・対水上レーダーと対水上レーダーの2基が搭載される予定でしたが、実際には271型レーダーが主に使用されました。後に、新型の277型レーダーがラティスマスト上に搭載されました。ソナーは、初期には128型が搭載され、後に144型に更新されました。また、目標の水深測定のために147B型も追加されました。

砲熕兵器

当初計画では、40口径10.2cm単装砲2基と、高角機銃4基、軽機関銃4挺が搭載される予定でした。1943年には、一部の艦で魚雷艇対策として47口径5.7cm砲が搭載されました。カナダ建造艦では、高角機銃が連装化され、主砲も連装高角砲に換装されました。オーストラリア建造艦は、主砲を全て連装高角砲とし、防空火力を強化しました。

水雷兵器

対潜兵器として、ヘッジホッグ対潜迫撃砲と爆雷投射機、爆雷投下軌条が搭載されました。初期の艦では掃海具が搭載されていましたが、後の建造艦では省略されました。

配備と運用

リバー級フリゲートは、イギリス、カナダ、オーストラリアで計142隻が建造され、イギリス海軍、カナダ海軍、オーストラリア海軍、アメリカ海軍、自由フランス海軍などで運用されました。アメリカ海軍では、当初アッシュビル級コルベットとして扱われ、後にフリゲートに再分類されました。また、この艦を原型としたタコマ級フリゲートが建造され、イギリス海軍でもコロニー級として運用されました。当初は更に多くが建造される予定でしたが、量産性を高めたロック級フリゲートの登場により、建造が打ち切られました。

リバー級フリゲートは、戦時中の需要に応えるために設計された艦艇であり、その後のフリゲート艦の発展に大きな影響を与えました。

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