リポン条約

リポン条約の概要

リポン条約は、1640年10月26日にイングランド北部のリポンで、イングランド王兼スコットランド王チャールズ1世とスコットランド国民盟約の間で締結された、第二次主教戦争の講和条約です。この条約は、翌1641年8月26日にロンドン条約として批准されました。

1639年の第一次主教戦争で不首尾に終わったチャールズ1世は、再戦を企てましたが、戦費調達がうまくいかず、軍の質も低い状態でした。1640年8月、ニューバーンの戦いで盟約派に敗北し、和睦せざるを得なくなりました。この和睦は事実上の降伏を意味していました。

条約の内容は、スコットランド軍がイングランド北部のノーサンバーランドとダラムに駐屯し、その維持費をチャールズ1世が支払うというものでした。また、スコットランド議会で可決された政治・宗教関係の法律をチャールズ1世が承認することも約束させられました。これらの内容は全てチャールズ1世に不利なものでしたが、彼は維持費を支払うため、11月に長期議会を招集しました。このことが、後の清教徒革命（イングランド内戦）を招く遠因となりました。

ロンドン条約とスコットランドの提案

一方、スコットランドはロンドン条約で同君連合の変革を提案しました。具体的には、スコットランドの宗派である長老派教会をイングランドとアイルランドにも適用し、スコットランド議会をイングランド議会と同等に位置づけ、政治・宗教・軍事などを共同で協議するという内容でした。これは、王権を制限する制限君主制における連邦制とも言える構想でした。

これらの提案は先送りされるか、未回答に終わりましたが、盟約派は構想を諦めず、内戦中にイングランドと交渉して実現を目指しました。この構想は、1643年の議会派との厳粛な同盟と契約、1647年のチャールズ1世との和解契約に反映されることになります。盟約派の提携は、前者では第一次イングランド内戦の戦局転換、後者では第二次イングランド内戦の勃発につながりました。

リポン条約の歴史的意義

リポン条約は、チャールズ1世の権威を著しく低下させ、イングランドとスコットランドの関係を大きく変える出来事でした。この条約は、後のイングランド内戦の引き金となり、英国史における重要な転換点となりました。

参考資料

浜林正夫『イギリス市民革命史』未來社、1959年。
田村秀夫編『クロムウェルとイギリス革命』聖学院大学出版会、1999年。
松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
清水雅夫『王冠のないイギリス王 オリバー・クロムウェル―ピューリタン革命史』リーベル出版、2007年。

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