ルキウス・コルネリウス・レントゥルス・クルス

ルキウス・コルネリウス・レントゥルス・クルス

ルキウス・コルネリウス・レントゥルス・クルス（Lucius Cornelius Lentulus Crus, ? - 紀元前48年）は、共和政ローマ末期の政治家であり、軍人です。彼は、ガイウス・ユリウス・カエサルと激しく対立した人物として歴史に名を残しています。

生涯

レントゥルスは、紀元前61年に起こったボナ・デア祭のスキャンダルにおいて、プブリウス・クロディウス・プルケルを告発した一人でした。この事件は、当時のローマ社会に大きな波紋を広げました。

紀元前58年にはプラエトル（法務官）に選出され、政界での地位を確立します。しかし、彼の政治姿勢は一貫して反カエサルであり、カエサルにとって最も手ごわい政敵の一人として活動しました。

当時、ガリア属州総督であったカエサルは、ガリアに留まり、軍を保持したまま執政官（コンスル）選挙への立候補を望んでいました。元老院の一部とカエサル派の間で交渉が行われましたが、紀元前49年にコンスルに就任したレントゥルスは、カエサルの要求を断固として拒否しました。「盗賊に対して必要なのは武器であり、投票ではない」という彼の言葉は、カエサルに対する強烈な敵意を示すものとして知られています。彼は、マルクス・ポルキウス・カトやルキウス・ドミティウス・アヘノバルブスらと共に元老院を主導し、カエサルに対抗する姿勢を鮮明にしました。

ローマ内戦が勃発すると、レントゥルスはカプアでカエサルが開設した剣闘士養成所の剣闘士を解放し、元老院派の軍に組み入れました。その後、アシア属州へ赴き、同地に駐留していた2個軍団を率いてギリシアへ撤退していたグナエウス・ポンペイウスの本軍に合流しました。これにより、元老院派の軍事力は増強されました。

紀元前48年8月、レントゥルスはファルサルスの戦いに参戦しました。しかし、元老院派はカエサル軍に大敗を喫し、レントゥルスはキプロス、ロドス島を経て、ポンペイウスと同様にエジプトへ逃れました。

エジプトに到着したレントゥルスは、ポンペイウスと同様に殺害されるという悲劇的な最期を迎えました。カエサルが著した『内乱記』によれば、レントゥルスはポンペイウスと同じ船に乗船して捕虜となり、翌日に殺害されたとされています。一方、プルタルコスが著した『対比列伝』では、ポンペイウスとは別の船で上陸し、ポンペイウスの死を確認した後に捕縛・殺害されたと記述されています。このように、彼の最期については異なる記録が存在しています。

関連項目

* 共和政ローマ執政官一覧

ルキウス・コルネリウス・レントゥルス・クルスは、カエサルと対立し、共和政ローマ末期の激動の時代を生きた人物として、歴史にその名を刻んでいます。彼の行動は、ローマ内戦の激化を招き、共和政の終焉を早める一因となりました。

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