ルーイカット装甲車

ルーイカット：南アフリカのカラカル装輪装甲車

ルーイカット（Rooikat）は、南アフリカ共和国で開発された8輪式の装輪装甲車です。 "ルーイカット"とは、アフリカーンス語でカラカル（別名：アフリカヤマネコ）を意味し、「赤い(Rooi)」「ネコ(Kat)」という言葉に由来します。アフリカーンス語の発音をカタカナ表記すると“ロイカット”がより近いとされ、日本では「ロイカット」と表記されることもあります。

概要

ルーイカットは、偵察、火力支援、対戦車戦闘を主な任務とする大型の装輪装甲車両として、フランス製のAML装甲車とそのライセンス生産型であるエランド装甲車の後継として開発されました。

フランスのAMX-10RCやイタリアのチェンタウロなど、類似の車両が105mm砲を搭載する中で、ルーイカットの主砲は艦載用のオート・メラーラ76mm砲と同系列のものが採用されています。これは、仮想敵であったアンゴラ軍の主力戦車であるT-54、T-55、T-62の装甲を貫通可能な高初速弾（76×900mm）を使用することで、小口径ながら十分な威力を確保しつつ、搭載可能な砲弾数を増加させるという狙いがありました。

イスラエルのメルカバ戦車や韓国のK1戦車の初期型も、同様の理由から同時期に開発された同クラスの西側戦車よりも小口径の105mm砲を採用しており、ルーイカットもこれらと共通した武装選定となっています。

派生型

2000年には、主砲をGT7 105mm対戦車砲に換装し、火器管制装置を近代化する改修が行われたルーイカット105が存在します。しかし、南アフリカ陸軍には採用されず、輸出用となっています。

また、車体を共用し、砲塔のみを変更した各種の派生型も構想されました。レーダー火器管制装置付き連装35mm機関砲を搭載した自走対空砲型であるルーイカットZA35、ZA35の機関砲をウムコント個艦防空ミサイルを転用した地対空ミサイルの発射装置（片側2基、計4基）に変更した自走地対空ミサイルであるルーイカットSAM、ZT3対戦車ミサイルの発射装置（発射筒4基）および照準装置を装備した砲塔を搭載したルーイカット対戦車型などが開発されました。これらの派生型は、モックアップや試験車が製作され、自走対空砲型は射撃試験も行われましたが、いずれも生産には至りませんでした。

実戦投入

ルーイカットは、南アフリカ軍において1993年のアパルトヘイト政策廃止まで、アンゴラ侵攻やナミビアのSWAPO（南西アフリカ人民機構）掃討作戦にラーテル歩兵戦闘車などと共に投入されました。

採用国

南アフリカ共和国

しかし、輸出は振るわず、採用国は南アフリカのみにとどまっています。

関連項目

装輪装甲車
* 装輪戦車

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