ルー・アルバーノ

ルー・アルバーノ：悪役マネージャーから国民的スターへ

ルー・アルバーノ（1933年7月29日 - 2009年10月14日）は、アメリカ合衆国を代表するプロレス界のレジェンド。イタリア・ローマ生まれ、アメリカ・ニューヨーク育ちのプロレスラーであり、マネージャー、そして俳優としても活躍しました。その強烈な個性とカリスマ性で、プロレス史に輝く足跡を残しました。

華麗なるキャリアの始まり：レスラーとして

アルバーノは、アメリカンフットボール選手を経てアメリカ陸軍に入隊。除隊後、1953年にカナダのモントリオールでプロレスラーデビューを果たします。当初はトニー・アルティモアとのタッグチーム「ザ・シチリアンズ」として活動し、イタリア系ギャングを思わせるギミックで人気を博しました。1961年にはシカゴでミッドウエスト・タッグ王座を獲得するなど、レスラーとしてのキャリアを着実に築いていきました。その後、WWWF（後のWWF）に移籍し、1967年にはアルティモアとのタッグでWWWF USタッグ王座を獲得、レスラーとしての頂点に達します。

悪徳マネージャーとしての全盛期：ヒール全盛の時代

レスラーとしての成功の後、アルバーノは自身の才能を活かし、マネージャーへと転身します。1969年からWWWFでイワン・コロフのマネージャーを務め、1971年にはブルーノ・サンマルチノからWWWF世界ヘビー級王座奪取に貢献しました。フレッド・ブラッシーやグラン・ウィザードらと並び、ビンス・マクマホン・シニア時代のWWWF/WWFを代表する悪役マネージャーとして、その存在感は圧倒的でした。

アルバーノは、自他ともに認める悪相の持ち主でした。華やかなブラッシーや知略に長けたウィザードとは対照的に、野卑で単細胞なキャラクターを演じ、TVインタビューでゲップを連発するなど、徹底して下品な振る舞いを演出し、観客の激しいブーイングを浴びながらも、独特のユーモラスな魅力で、憎めない存在として人気を獲得していきました。安全ピンでゴムバンドを頬に括り付けるなど、ビジュアル面でも強烈なインパクトを与えました。

シンディ・ローパーとの出会い：ロックン・レスリングの誕生

1983年、シンディ・ローパーのミュージックビデオ『ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン』に、ローパーの父親役として出演したことが、アルバーノのキャリアに新たな転機をもたらしました。この出会いをきっかけに、1984年、WWFでローパーとアルバーノの対立アングルがスタート。このアングルは、ビンス・マクマホン・ジュニア体制下におけるWWFのマーケティング戦略における新機軸として注目を集め、MTVでも放送され、大反響を呼びました。この成功は「ロックン・レスリング」という新しいプロレスの概念を生み出し、翌年のレッスルマニアへと繋がる重要な一歩となりました。

ベビーフェイス転向と俳優業：新たな挑戦

ローパーとのアングルを経て、アルバーノは一躍国民的スターへと昇りつめます。1985年にはベビーフェイス（善玉）に転向し、かつての敵であるハルク・ホーガンやアンドレ・ザ・ジャイアントとも共闘。陽気なキャラクターで子供たちの圧倒的な人気を獲得しました。1986年にWWFを離れてからは、俳優として活躍の場を広げ、『スーパーマリオブラザーズ・スーパーショー！』ではマリオ役を演じるなど、その多才ぶりを発揮しました。

殿堂入りとその後：プロレス界への貢献

1994年にはヘッドシュリンカーズのマネージャーとしてWWFに復帰。1996年にはWWE殿堂入りを果たし、その功績が改めて称えられました。その後も、オールドタイマーのリユニオンイベントやWWEの番組に時折出演するなど、プロレス界への貢献を続けました。2009年10月14日、76歳でその生涯を閉じました。

ルー・アルバーノは、悪役マネージャーとしての圧倒的な存在感、シンディ・ローパーとの共演によるロックン・レスリングブームの立役者、そしてベビーフェイス転向後の子供たちへの人気獲得と、プロレス界に多大な貢献を残しました。そのユニークな個性と才能は、これからも人々の記憶に深く刻まれ続けることでしょう。

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