レオポルト (アンハルト＝ケーテン侯)

レオポルト・フォン・アンハルト＝ケーテン：バッハを支えた侯爵

レオポルト・フォン・アンハルト＝ケーテン（1694年11月29日 - 1728年11月19日）は、アスカーニエン家のアンハルト＝ケーテン侯でした。彼は音楽を愛し、ヨハン・ゼバスティアン・バッハを支援したことで知られています。バッハとは生涯を通じて親交があり、バッハの音楽活動において重要な役割を果たしました。

生涯

家族と幼少期

レオポルトは、アンハルト＝ケーテン侯エマヌエル・レープレヒトと、貴賤結婚による妻ギーゼラ・アグネス・フォン・ラートの次男として生まれました。父の死後、母が摂政となり、レオポルトは大きな影響を受けました。父の遺言により、母が後見人と定められましたが、プロイセン王フリードリヒ1世も上位後見人となりました。母はレオポルトにルター派の教育を施しましたが、フリードリヒ1世は改革派となることを望んでいました。レオポルトはブランデンブルク・アン・デア・ハーフェルの騎士アカデミーで学び、1708年から1710年まで過ごしました。また、レオポルトは音楽好きで、1707年には母を説得し、ケーテン宮廷に3人の音楽家を雇わせています。

グランドツアー

1710年、レオポルトは貴族の子弟の慣習に従い、グランドツアーに出発しました。デン・ハーグでは4ヶ月の滞在中に12ものオペラを鑑賞し、音楽への傾倒ぶりを示しました。彼はジャン＝バティスト・リュリの作品を好み、自らチェンバロやヴァイオリンを演奏しました。イギリス、オランダ、フランクフルト、アウクスブルクを経てイタリアへ渡り、ヴェネツィアやローマでオペラを鑑賞しました。ローマではヴァイオリンの名手ヨハン・ダーフィト・ハイニヒェンに師事しました。1713年にケーテンへ帰国し、宮廷楽団を設立しました。

統治時代とバッハとの出会い

1715年、レオポルトは親政を開始し、ヨハン・ゼバスティアン・バッハを宮廷楽団の楽長に任命しました。バッハとの交流は、1716年の妹の結婚式に遡ります。1717年、バッハはケーテンとの契約を交わし、宮廷楽長に就任しました。レオポルト侯の音楽への関心のおかげで、ケーテン時代はバッハにとって最も実り多き時代となりました。この地で数多くの器楽曲、協奏曲、『ブランデンブルク協奏曲』の大部分、『平均律クラヴィーア曲集』第1巻、そして多くの管弦楽組曲が誕生しました。レオポルト侯はバッハの息子レオポルト・アウグストの洗礼式で名付け親となり、1723年にバッハがライプツィヒへ去った後も親交を続けました。

その後

レオポルトは、ニーエンブルクの母やヴァルムスドルフにいる弟との間で争いを抱えましたが、1722年に弟と和議を結びました。1721年にはフリーデリケ・ヘンリエッテと結婚し、娘ギゼラ・アグネスをもうけました。1725年に最初の妻が亡くなった後、シャルロッテ・フリーデリケと再婚しました。1728年、レオポルトは34歳で亡くなり、弟アウグスト・ルートヴィヒが侯位を継承しました。バッハはレオポルトの追悼ミサで『子らよ嘆け、全世界に嘆け』を演奏しました。

業績

レオポルトは、宮廷楽団を設立し、バッハの下で重要な文化的蓄積をなしました。バッハの世俗音楽の大部分はケーテン時代の創作によるものです。また、宮廷図書館を設立し、ケーテン宮殿庭園をバロック様式に作り変えました。レオポルトはブルクシュトラーセを修復し、ケーテンのヴァルシュトラーセを改修し、ケーテン孤児院を開設しました。ケーテナー・レオポルトシュトラーセは彼にちなんで名づけられています。

レオポルト・フォン・アンハルト＝ケーテンは、音楽を愛し、バッハを支援したことで、音楽史に名を残す侯爵です。

参考文献
* 樋口隆一『バッハ』新潮社〈カラー版作曲家の生涯〉、1985年。ISBN 978-4-10-139701-6

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