レキシントン級航空母艦

レキシントン級航空母艦

レキシントン級航空母艦は、アメリカ海軍が初めて建造した大型正規空母です。この艦級は、ワシントン海軍軍縮条約の影響により、未完成となったレキシントン級巡洋戦艦の船体を再利用して誕生しました。当初は巡洋戦艦として計画されていたものの、条約の制約と航空戦力の重要性の高まりを受け、空母へと転換されたのです。その結果、アメリカ海軍は艦隊随伴可能な高速性能と、多数の航空機を運用できる能力を兼ね備えた空母を手に入れることができました。

開発の経緯

第一次世界大戦後、アメリカ海軍は大規模な海軍拡張計画であるダニエルズ・プランを策定しました。この計画には、40.6cm砲を搭載したレキシントン級巡洋戦艦6隻の建造が含まれていました。しかし、同時に、アメリカ海軍初の空母「ラングレー」が、その低速のために艦隊行動に随伴できないという問題が浮上しました。そこで、艦隊と行動を共にできる高速空母の必要性が高まり、様々な案が検討されました。最終的には、レキシントン級巡洋戦艦の設計を基にした39,000トン級の大型空母案が採用され、建造が遅れていた「レンジャー」（CC-4）が空母に改造されることになりました。

しかし、1922年にワシントン海軍軍縮条約が発効すると、ダニエルズ・プランは中止となり、レキシントン級巡洋戦艦は全艦が廃棄対象となりました。条約では未完成の戦艦・巡洋戦艦の空母への改造は認められていたため、建造が進んでいた「レキシントン」と「サラトガ」の船体を流用し、2隻のレキシントン級航空母艦が建造されることになったのです。

設計と特徴

レキシントン級は、39,000トン級の空母案を基に、軍縮条約で定められた排水量上限33,000トンに合わせて再設計されました。船体は巡洋戦艦時代の最上甲板の上に格納庫と飛行甲板を設けた構造で、飛行甲板の全長は264mにも達しました。一方で、格納庫はエレベーター間のみの119mと短く、航空機の整備能力や収容能力に課題を残しました。

建造当初、飛行甲板には水上機発艦用のカタパルトが設置されましたが、短期間で撤去されています。主砲は当初6インチ砲が計画されていましたが、最終的に8インチ砲8門が艦橋前後に搭載されました。高角砲は5インチ砲12門が飛行甲板両舷に配置されました。艦橋は大型で、8インチ砲の射撃指揮装置が搭載され、右舷に設置されました。また、艦橋の後方には、機関からの煙路をまとめた大きな煙突がありました。

機関部は、巡洋戦艦時代のターボ・エレクトリック方式をそのまま流用し、定格18万馬力、過負荷21万馬力の出力を発揮しました。この出力により、33ノット（公試運転では34ノット以上）という高速を実現しました。1928年の公試運転では、「レキシントン」が202,973馬力で34.59ノット、「サラトガ」が212,702馬力で34.99ノットを記録しています。

アメリカ海軍初の大型空母として完成した本級は、その高い性能で太平洋戦争の初期から終戦まで多くの戦場に参戦し、アメリカ海軍の洋上航空兵力の中核として活躍しました。また、船体の規模や搭載機数では、同様の経緯で建造された日本海軍の空母「赤城」や「加賀」と匹敵するものでした。

同型艦

レキシントン (USS Lexington, CV-2)
サラトガ (USS Saratoga, CV-3)

登場作品

小説

『連合艦隊西進す』：Uボートに撃沈された「赤城」と「加賀」の代艦として日本に売却され、「レキシントン」が「大龍」、「サラトガ」が「神龍」と命名され、零式艦上戦闘機と九九式艦上爆撃機を30機ずつ搭載される設定。

テレビ番組

『THE世界遺産 ビキニ環礁核実験場』：取材時の海底に沈む「サラトガ」の映像が登場。

ゲーム

『naval creed warships』：アメリカツリー艦艇として「レキシントン」、課金艦艇として「サラトガ」が登場。
『world of Warships』：米国ツリー艦として「レキシントン」がTier8のツリー艦として実装。

脚注

注釈

出典

参考文献

歴史群像太平洋戦史シリーズ vol.53 『アメリカの空母』2006年、学習研究社　ISBN 4-05-604263-2
雑誌『世界の艦船』海人社
1981年1月号増刊　アメリカ航空母艦史
1991年7月号　特集・アメリカの空母
Friedman, Norman (1983). U.S. Aircraft Carriers: An Illustrated Design History. Annapolis, MD: Naval Institute Press. ISBN 0-87021-739-9
Anderson, Richard M.; Baker, Arthur D. III (1977). “CV-2 Lex and CV-3 Sara”. Warship International (Toledo, OH: International Naval Research Organization) XIV (4): 291–328. ISSN 0043-0374.

関連項目

アメリカ海軍航空母艦一覧
アメリカ海軍艦艇一覧

外部リンク

* War Service Fuel Consumption of U.S. Naval Surface Vessels FTP 218

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