レーモン4世 (トゥールーズ伯)

レーモン4世の生涯と功績

レーモン4世（Raymond IV de Toulouse）、およそ1052年から1105年にかけて生きた彼は、トゥールーズ伯およびプロヴァンス辺境伯として知られており、歴史的には第1回十字軍の主要な指導者の一人とされています。彼は若い頃から貴族としての地位を確立し、十字軍の遠征において重要な役割を果たしました。その功績の一部には、エルサレムの占領後にトリポリ伯領を創設したことが挙げられます。レーモンはまた、聖墳墓教会の門番との乱闘により、片目を失ったとされ、隻眼として知られています。

家系と初期の生涯

彼はトゥールーズ伯ポンスとアルモディス・ド・ラ・マルシュの子として出生しました。兄であるギヨーム4世が亡くなった際、後継者として指名された娘フィリッパを退け、自身がトゥールーズ伯となることで、しばしばアキテーヌ公からの攻撃にさらされることになりました。この独特な経歴は、彼の人生の多くの選択や行動に影響を与えました。

レーモンは三度の結婚を経験し、最初の二度は近親婚と見なされたため無効とされ、その結果として破門を受けたこともありました。そのため、最初の妻との間に生まれた子供、ベルトランは庶子とされました。

十字軍への参加

彼は十字軍に参加する以前にも、イスラム教徒との戦闘を経験しており、第1回十字軍の勧誘時には他の諸侯に先駆けて参加を約束したと伝えられています。その多くの経験から、年齢的にもはるかに成熟したリーダーであり、南フランスの諸侯の中でリーダーとしての地位を確立していました。

1097年にはニカイア攻囲戦やドリュラエウムの戦いに参加し、特にアンティオキア攻囲戦ではその手腕を発揮しました。この戦闘では、彼の配下であるペトルス・バルトロメオが聖槍を発見したことが士気を高め、大きな影響を及ぼしました。

しかし、アンティオキアの攻略後、彼はボエモンとの間で対立を抱えることになりました。ボエモンが領有権を主張し、攻撃を続けたことから、レーモンはトリポリで独自の地盤を持つことを望むようになりましたが、彼の軍勢はエルサレムへ向かうことを望んでいました。

エルサレム占領とその後

エルサレムに到達すると、彼は一時的にエルサレム王として推戴されましたが、キリストが磔にされた地で王と呼ばれることを拒否しました。このため、彼の友人であるゴドフロワが王に選ばれることとなりましたが、ゴドフロワもまた同様に王の称号を嫌い、聖墓の守護者と名乗ることにしました。レーモンはその後、アスカロンの戦闘にも参加しましたが、再びゴドフロワとの争いが生じ、アスカロンを攻略できませんでした。

その後、レーモンは十字軍との決別を選び、コンスタンティノープルに滞在します。1101年には再び十字軍に参加しますが、アナトリアでの敗北を経験し、その後再度コンスタンティノープルに戻ります。彼は東ローマ皇帝アレクシオス1世コムネノスの支援を得ようとしましたが、病にかかり、そのまま亡くなります。

子供たちと後継者

彼の最初の妻はファルカーク伯の娘またはプロヴァンス伯の娘であったとされ、これにより長子のベルトランが生まれました。次の妻はシチリア伯ルッジェーロ1世の娘マティルデ、そして三度目はカスティーリャ王の庶子エルヴィラでした。最終的に、甥のギヨーム・ジュールダンがトリポリを包囲し、1109年にトリポリを陥落させることでトリポリ伯国を設立しました。

レーモン4世の人生は中世における重要な貴族の一人として、また十字軍史において名を刻む存在として、今もなお語り継がれています。

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