ロケット中型揚陸艦

ロケット中型揚陸艦（LSM(R)）

ロケット中型揚陸艦（英語: Landing Ship Medium (Rocket) , LSM(R)）は、第二次世界大戦中にアメリカ海軍が運用していた揚陸艦の一種です。水陸両用作戦において、上陸部隊を支援するための火力支援艦として重要な役割を果たしました。

開発の背景

水陸両用作戦では、上陸に先立つ制圧射撃などの火力支援が不可欠です。戦艦や巡洋艦による艦砲射撃も重要ですが、アメリカ海軍は第二次世界大戦後半に入り、より専門的な火力支援艦艇の整備を計画しました。その結果として開発されたのが、ロケット中型揚陸艦（LSM(R)）です。

設計

LSM(R)の設計は、LSM-1級中型揚陸艦をベースにしています。LSM-1級は、その手頃な艦型と、上甲板を追加することで車両甲板を広大な艦内区画に転用できる点が評価されました。最初に建造されたLSM(R)-188級は、LSM-1級の建造途中のものを改装したもので、ほぼこの設計に基づいていました。

LSM(R)-188級

艦尾側の上甲板にMk.30 5インチ単装緩射砲を1基搭載
それより前方の甲板上にはロケット発射機を設置

1,000トン未満の艦型に5インチ砲を搭載するのは異例でしたが、これは艦砲射撃の投射弾量を考慮し、小口径の砲では十分な効果が得られないと考えられたためです。ロケット発射機としては、当初は航空機用の発射機をベースにした4連装のMk.36と6連装のMk.30が用いられました。しかし、これらは人力装填方式であったため、次弾の装填に時間がかかるという課題がありました。

LSM(R)-196以降

LSM(R)-196以降では、重力式の自動装填を導入したMk.51ロケット発射機が採用されました。Mk.51は、1基あたり12発の127mmロケット弾を装填可能で、発射速度が向上しました。127mmロケット弾としては、当初は航空機用の5インチ FFAR（Forward Firing Aircraft Rocket）が使用されました。

LSM(R)-401級

第2陣として建造されたLSM(R)-401級は、LSM-1級の船体と主機関を流用していますが、艦橋構造物が右舷側のアイランド型から艦尾側へ移設され、艦容が大きく変わりました。これに伴い、Mk.30 5インチ単装緩射砲は艦橋構造物の前方に移されました。また、ロケット発射機は自動装填・パワードライブ方式のMk.105連装発射機に変更されました。上甲板の1層下に給弾室が設けられ、連続自動装填と組み合わせることで、毎分30発のロケット弾を発射することが可能になりました。こちらでは旋転式のHVSR（High Velocity Spinner Rocket）ロケット弾が用いられました。

関連項目

上陸支援艇（LSSL） - 大型歩兵揚陸艇（LCI(I)）をもとにした火力支援艇。
カロネード (上陸火力支援艦)

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