ロサンゼルス・キングス
ロサンゼルス・キングス（Los Angeles Kings）は、ナショナルホッケーリーグ（NHL）に加盟するプロアイスホッケーチームです。アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスを本拠地として活動しています。
カリフォルニア州南部では、古くからアイスホッケーへの関心が高く、多くのチームが活動していました。しかし、1960年代以前、ロサンゼルスにはNHLの試合を開催できる規模のアリーナが存在せず、これがリーグ拡張における大きな課題となっていました。この状況を打開するため、カナダ出身の実業家であるジャック・ケント・クック氏がNHLに多額の投資を行い、新たなチームの設立を目指しました。彼の尽力により、1967年に「エクスパンション・シックス」と呼ばれるリーグ拡張に参加する6チームの一つとして、ロサンゼルス・キングスが誕生しました。
キングスは、クック氏が「世界一美しいアリーナ」と評した、イングルウッドに建設された「ザ・フォーラム」を最初のホームリンクとしました。この最新鋭の施設は、チームの船出を飾るにふさわしいものでした。
創設当初から、キングスは一定の競争力を示しましたが、当時のリーグにおける強豪には及びませんでした。チーム運営上の問題も重なり、特に1969-1970シーズンにはNHL全体で最低の成績に終わるなど、低迷期を経験しました。1973-1974シーズンにはプレイオフに進出したものの、その後もプレイオフでの勝ち上がりに苦労するシーズンが続きました。チーム史上最高の選手とされるマーセル・ディオンがデトロイト・レッドウイングスから移籍し、最上級のゴーリーであったロージー・ヴァションが加入するなど戦力強化は進みましたが、プレイオフの第1ラウンドで敗退することが繰り返されました。
1981-1982シーズンにはスマイス地区へ移籍。このシーズン、レギュラーシーズンは低調な成績でしたが、プレイオフ第1ラウンドで、当時圧倒的な強さを誇り地区優勝を果たしたエドモントン・オイラーズを相手に、予想を覆す勝利を収めるという記憶に残る番狂わせを演じました。しかし、この後もチームはプレイオフでの成功を収めることが難しく、1987-1988シーズン終了時点では、プレイオフのベスト・オブ・セブン・シリーズで勝ち抜いた経験すらありませんでした。
1987年、ブルース・マクネイル氏がチームを買収し、キングスは大きな転換期を迎えます。マクネイル氏はチームを優勝を争うレベルへと引き上げるべく、1988年8月9日、歴史的なトレードを実行しました。彼は、ウェイン・グレツキーをエドモントン・オイラーズから獲得したのです。このトレードは、当時のアイスホッケー界に衝撃を与え、キングスを一躍注目の的にしました。交換相手には1500万ドルの金銭に加え、ジミー・カーソン、マーティン・ジェリナス、そして将来のドラフト1巡目指名権が含まれていました。
グレツキーの加入に合わせ、チームはユニフォームデザインを刷新しました。当時人気を博していたNFLのロサンゼルス・レイダースを参考に、チームカラーを黒と銀に変更。このスタイリッシュなユニフォームは、若者の間でファッションとしても人気を集めました。グレツキーは加入初年度からチームに大きな影響を与え、リーグ屈指のオフェンス力を牽引しました。彼はシーズン168ポイントというチーム記録を樹立し、リーグ最優秀選手に贈られるハート記念賞を受賞。チームもリーグ4位の好成績を残しました。プレイオフでは、第1ラウンドで宿敵オイラーズとの激闘を制しましたが、続く第2ラウンドでカルガリー・フレームスに敗退しました。
その後も、キングスはプレイオフに進出するものの、オイラーズやフレームスといった強豪の壁に阻まれ、ウェスタン・カンファレンスの決勝まで駒を進めることはできませんでした。しかし、1993年のプレイオフではチーム史上最高の快進撃を見せます。グレツキーの伝説的な活躍、特にトロント・メープルリーフスとのカンファレンス決勝シリーズ第6戦での決勝点や第7戦でのハットトリックにより、キングスはチーム史上初めてスタンレー・カップ決勝進出を果たしました。決勝ではモントリオール・カナディアンズに敗れましたが、グレツキーはプレイオフ新記録となる40ポイントを挙げるなど、そのパフォーマンスは特筆すべきものでした。この快挙の後、チームは再びプレイオフ進出から遠ざかり、グレツキーもセントルイス・ブルースへトレードされました。
グレツキー放出後、キングスは再び低迷期に入り、2001年に一度プレイオフに進出したのみで、長らく勝利から遠ざかることになります。この時期、2007年1月13日には、日本のホッケー界にとって記念すべき出来事がありました。GKの福藤豊選手がセントルイス・ブルース戦に出場し、日本人として初めてNHLの公式戦に出場したのです。福藤選手はその後チームを離れましたが、彼の出場は歴史的な一歩となりました。
2007-2008シーズン開幕戦をロンドンで開催するなど新たな取り組みも見られましたが、チームの成績はNHL全体でも下位に沈みました。しかし、ドラフト上位指名権を獲得し、若手有望選手の獲得を進めました。2008年のドラフト全体2位で指名されたディフェンスのドリュー・ダウティーは、プロ1年目から活躍し、チームの将来を担う存在へと成長していきました。
長年の再建期間を経て、キングスは2010年代に黄金期を迎えます。2011-2012シーズン、レギュラーシーズンをウェスタン・カンファレンス第8シードで終えたチームは、プレイオフで奇跡的な快進撃を開始しました。第1シードのバンクーバー・カナックスを破ると、続くセントルイス・ブルース、フェニックス・コヨーテズをも撃破し、1993年以来となるウェスタン・カンファレンス優勝を飾りました。そして、スタンレー・カップ決勝でニュージャージー・デビルスを4勝2敗で下し、チーム創設45年目にして初のスタンレー・カップ優勝という歴史的快挙を達成しました。
この成功は一時的なものではありませんでした。2013-2014シーズンにも、キングスは再びスタンレー・カップ決勝に進出し、ニューヨーク・レンジャースを4勝1敗で破り、3シーズンで2度目の優勝を成し遂げました。この「黄金期」は、堅実な守備とプレイオフでの勝負強さを最大の武器としたものであり、ロサンゼルスにアイスホッケー文化を深く根付かせました。
チーム創設とその背景
カリフォルニア州南部では、古くからアイスホッケーへの関心が高く、多くのチームが活動していました。しかし、1960年代以前、ロサンゼルスにはNHLの試合を開催できる規模のアリーナが存在せず、これがリーグ拡張における大きな課題となっていました。この状況を打開するため、カナダ出身の実業家であるジャック・ケント・クック氏がNHLに多額の投資を行い、新たなチームの設立を目指しました。彼の尽力により、1967年に「エクスパンション・シックス」と呼ばれるリーグ拡張に参加する6チームの一つとして、ロサンゼルス・キングスが誕生しました。
キングスは、クック氏が「世界一美しいアリーナ」と評した、イングルウッドに建設された「ザ・フォーラム」を最初のホームリンクとしました。この最新鋭の施設は、チームの船出を飾るにふさわしいものでした。
黎明期の苦戦
創設当初から、キングスは一定の競争力を示しましたが、当時のリーグにおける強豪には及びませんでした。チーム運営上の問題も重なり、特に1969-1970シーズンにはNHL全体で最低の成績に終わるなど、低迷期を経験しました。1973-1974シーズンにはプレイオフに進出したものの、その後もプレイオフでの勝ち上がりに苦労するシーズンが続きました。チーム史上最高の選手とされるマーセル・ディオンがデトロイト・レッドウイングスから移籍し、最上級のゴーリーであったロージー・ヴァションが加入するなど戦力強化は進みましたが、プレイオフの第1ラウンドで敗退することが繰り返されました。
1981-1982シーズンにはスマイス地区へ移籍。このシーズン、レギュラーシーズンは低調な成績でしたが、プレイオフ第1ラウンドで、当時圧倒的な強さを誇り地区優勝を果たしたエドモントン・オイラーズを相手に、予想を覆す勝利を収めるという記憶に残る番狂わせを演じました。しかし、この後もチームはプレイオフでの成功を収めることが難しく、1987-1988シーズン終了時点では、プレイオフのベスト・オブ・セブン・シリーズで勝ち抜いた経験すらありませんでした。
グレツキーの時代と「黒と銀」への変貌
1987年、ブルース・マクネイル氏がチームを買収し、キングスは大きな転換期を迎えます。マクネイル氏はチームを優勝を争うレベルへと引き上げるべく、1988年8月9日、歴史的なトレードを実行しました。彼は、ウェイン・グレツキーをエドモントン・オイラーズから獲得したのです。このトレードは、当時のアイスホッケー界に衝撃を与え、キングスを一躍注目の的にしました。交換相手には1500万ドルの金銭に加え、ジミー・カーソン、マーティン・ジェリナス、そして将来のドラフト1巡目指名権が含まれていました。
グレツキーの加入に合わせ、チームはユニフォームデザインを刷新しました。当時人気を博していたNFLのロサンゼルス・レイダースを参考に、チームカラーを黒と銀に変更。このスタイリッシュなユニフォームは、若者の間でファッションとしても人気を集めました。グレツキーは加入初年度からチームに大きな影響を与え、リーグ屈指のオフェンス力を牽引しました。彼はシーズン168ポイントというチーム記録を樹立し、リーグ最優秀選手に贈られるハート記念賞を受賞。チームもリーグ4位の好成績を残しました。プレイオフでは、第1ラウンドで宿敵オイラーズとの激闘を制しましたが、続く第2ラウンドでカルガリー・フレームスに敗退しました。
その後も、キングスはプレイオフに進出するものの、オイラーズやフレームスといった強豪の壁に阻まれ、ウェスタン・カンファレンスの決勝まで駒を進めることはできませんでした。しかし、1993年のプレイオフではチーム史上最高の快進撃を見せます。グレツキーの伝説的な活躍、特にトロント・メープルリーフスとのカンファレンス決勝シリーズ第6戦での決勝点や第7戦でのハットトリックにより、キングスはチーム史上初めてスタンレー・カップ決勝進出を果たしました。決勝ではモントリオール・カナディアンズに敗れましたが、グレツキーはプレイオフ新記録となる40ポイントを挙げるなど、そのパフォーマンスは特筆すべきものでした。この快挙の後、チームは再びプレイオフ進出から遠ざかり、グレツキーもセントルイス・ブルースへトレードされました。
再建と日本人選手の挑戦
グレツキー放出後、キングスは再び低迷期に入り、2001年に一度プレイオフに進出したのみで、長らく勝利から遠ざかることになります。この時期、2007年1月13日には、日本のホッケー界にとって記念すべき出来事がありました。GKの福藤豊選手がセントルイス・ブルース戦に出場し、日本人として初めてNHLの公式戦に出場したのです。福藤選手はその後チームを離れましたが、彼の出場は歴史的な一歩となりました。
2007-2008シーズン開幕戦をロンドンで開催するなど新たな取り組みも見られましたが、チームの成績はNHL全体でも下位に沈みました。しかし、ドラフト上位指名権を獲得し、若手有望選手の獲得を進めました。2008年のドラフト全体2位で指名されたディフェンスのドリュー・ダウティーは、プロ1年目から活躍し、チームの将来を担う存在へと成長していきました。
黄金時代の到来
長年の再建期間を経て、キングスは2010年代に黄金期を迎えます。2011-2012シーズン、レギュラーシーズンをウェスタン・カンファレンス第8シードで終えたチームは、プレイオフで奇跡的な快進撃を開始しました。第1シードのバンクーバー・カナックスを破ると、続くセントルイス・ブルース、フェニックス・コヨーテズをも撃破し、1993年以来となるウェスタン・カンファレンス優勝を飾りました。そして、スタンレー・カップ決勝でニュージャージー・デビルスを4勝2敗で下し、チーム創設45年目にして初のスタンレー・カップ優勝という歴史的快挙を達成しました。
この成功は一時的なものではありませんでした。2013-2014シーズンにも、キングスは再びスタンレー・カップ決勝に進出し、ニューヨーク・レンジャースを4勝1敗で破り、3シーズンで2度目の優勝を成し遂げました。この「黄金期」は、堅実な守備とプレイオフでの勝負強さを最大の武器としたものであり、ロサンゼルスにアイスホッケー文化を深く根付かせました。
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