ロリアン襲撃

ロリアン襲撃 (1746年)

ロリアン襲撃は、1746年9月29日から10月10日にかけて行われた、オーストリア継承戦争中のイギリスによるフランスのロリアンを標的とした水陸両用作戦です。この作戦の目的は、フランス軍をフランドル地方から撤退させ、沿岸警備に人員を割かせることにありました。また、ロリアンはフランス東インド会社によって基地および補給港として使用されていたため、その破壊はイギリスの東インドにおける戦略目標を支援する意味合いもありました。

背景

オーストリア継承戦争

1745年のルイブールの戦いでイギリスがルイブールを占領した後、イギリス政府はケベックへの攻撃を計画し、カナダ全土の支配を目論んでいました。ベッドフォード公爵がケベック遠征の主要な支持者であり、ジェームズ・シンクレア中将率いる陸軍とリチャード・レストック提督率いる艦隊が準備され、1746年6月には出航準備が完了していました。

しかし、大西洋横断とセントローレンス川での戦闘を行うには時期が遅すぎると判断されました。さらに、ダンヴィユ公爵率いるフランス艦隊が突如出港したため、イギリス国内に緊張が走りました。結局、ニューカッスル公爵はジェームズ・シンクレアに対し、フランスへの上陸を提案します。ジョージ2世の承認を得て、シンクレアはフランス海岸で上陸可能な地点を調査することになりました。

ロリアン攻撃の決定

プリマスに到着したシンクレアは、フランス海岸へ向かい、ロリアン、ロシュフォール、ラ・ロシェル、ボルドー、またはその他の適切な都市を攻撃するよう命令を受けました。シンクレア自身は、ボルドー一帯の地理に精通しており、要塞化されていないことから、ボルドーへの攻撃を支持していました。ロリアンもフランドルからの距離が遠いため、フランス軍を分散させるという目的に適っていました。

当時、モーリス・ド・サックス元帥率いるフランス軍は、オーストリア領ネーデルラントで連勝を重ねており、ネーデルラント全土を占領する勢いでした。

アンソン提督は、ロリアンという都市も要塞化が不十分であることを伝えました。そのため、海軍をロリアン近辺の海岸に派遣し、上陸地点と襲撃地点を調査することが決定されました。ニューカッスル公爵は、参謀のマクドナルド少佐によるノルマンディー上陸計画を支持していましたが、シンクレアはマクドナルドを軍事的に無知であると考え、ロリアンへの襲撃計画を優先しました。ロリアンへの襲撃は、フランス東インド会社の活動を停止させ、フランドル地方に集中しているフランス軍を分散させるという二つの目的を同時に達成できると考えられたのです。

イギリスの準備

1744年2月、リチャード・レストック中将は、トゥーロンの海戦での敗北により軍法会議にかけられましたが、後にブルターニュにおける軍事行動のため、イギリス艦隊の指揮官に任命されました。彼は戦列艦16隻、フリゲート8隻、輸送船43隻を率いました。遠征軍の出発直前、歴史家で哲学者のデイヴィッド・ヒュームがシンクレアの秘書に任命されました。

シンクレアの軍勢は、王立連隊の第1大隊、ハイランダー連隊の第5大隊など、合計4,500人でした。しかし、遠征隊の指揮官たちは、ブルターニュが襲撃の標的として最適であるか疑問視しており、ノルマンディーをより良いと考えていました。ブルターニュはイギリスにはあまり知られておらず、シンクレアはブルターニュの地図を入手できず、フランス全体の地図で代用しなければなりませんでした。レストックもロリアンの守備について全く知りませんでした。さらに、上陸軍は軍馬を得られませんでした。遠征艦隊は9月26日にプリマスを出発し、フランスからの妨害もなくウェサン島を通過しました。

フランス側の背景

フランスは、イギリス人捕虜への尋問で、プリマスに駐留するイギリス軍の重要性を知りましたが、その標的までは特定できませんでした。現地のスパイから、プリマスの軍勢は食料や軍馬を多く有していないという情報が届き、イギリス海峡と大西洋海岸の港の指揮官に警戒が呼びかけられました。

ロリアン周辺の状況

17世紀の終わりまでに、ブルターニュ海岸には新しい要塞が築かれましたが、ロリアン周辺の守備は依然として貧弱でした。ロリアンは貿易港として戦略的に重要な地点となり、フランス海軍とフランス東インド会社のためのロリアン工廠が建設されました。また、ブレスト、ナント、ボルドーの間の沿岸貿易の中心地でもありました。

襲撃

遠征の開始と上陸

イギリス遠征軍は、イギリス海峡を6日かけて渡った後、9月29日にロリアン沖に到着、偵察艦隊と合流しました。レストックはロリアンの守備について無知だったため、ロリアン停泊地の入り口を上陸地に選びました。艦隊は9月29日以降、ライタ川の入り口であるポールドゥ湾に錨を下ろしました。天候が良く、満月で明るく、風が岸に向かって吹いていたにもかかわらず、レストックが上陸を翌日まで延期したため、フランス側は守備を準備する時間を得ました。

上陸は10月1日に行われましたが、朝の天候が悪かったため、ロリアンの沿岸警備隊が艦隊をイギリス艦隊であると認識し、守備を組織する時間を与えました。イギリス軍は砂浜3か所に接近し、レストック艦隊の砲撃の援護を受けつつ、400から1,000人のグループに分けて上陸しました。

襲撃の結果

イギリス軍はロリアンへの進軍を開始しましたが、雨と不慣れな地形により困難に直面しました。フランス軍は降伏勧告を拒否し、イギリス軍はロリアンの包囲に取り掛かりましたが、軍馬などの動物がなかったため、大砲は人手で運ばれました。住民が食料を隠したため、イギリス軍は疲労し、多くが病気を患いました。

10月6日、嵐が予想されたため、レストックはロリアン沖に留まれないと伝えました。その結果、シンクレアは包囲を解くしかないと結論付けました。イギリス軍は軍営を放棄し、10月9日までに乗船を終え、翌10日に出航しました。

その後

ロリアンの一件のような沿岸襲撃は、七年戦争中に再び注目を集めました。イギリスはフランス海岸の町や島を数度襲撃し、フランスのドイツにおける戦争努力を妨害しようとしました。七年戦争中にはロシュフォール、サン・マロ、シェルブールが襲撃を受けました。

イギリスの襲撃はフランスにブルターニュの守備の貧弱さを認識させ、1750年以降、要塞化が進められました。新しい防御網がロリアン周辺に作られ、デュメ島、キブロン半島、ウア島、オエディック島などで要塞が建設または再建されました。

ロリアン襲撃の後、デイヴィッド・ヒュームとヴォルテールの間で戦闘に関する論争が起こりました。また、ロリアンでは聖母マリアへの信仰が強まり、毎年記念ミサが行われるようになりました。

ルイ・ル・カムは短い詩で、イギリス軍がロリアン地域に到着したことに言及しました。より長いシャンソンも存在し、若い女性がイギリス兵士に強姦されるより自殺を選んだという物語でした。

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