ロルノキシカム

ロルノキシカム（Lornoxicam）とは

ロルノキシカムは、非ステロイド性抗炎症薬（NSAID）の一種で、オキシカム系に分類されます。この薬は、炎症を抑え、痛みを和らげ、発熱を下げる効果を持っています。国内では「ロルカム」という商品名で知られており、主に経口、つまり口から服用する形で使用されます。

薬の働き

ロルノキシカムは、体内で炎症や痛みを引き起こす物質であるプロスタグランジンの合成に関わる「シクロオキシゲナーゼ（COX）」という酵素の働きを阻害します。特に、炎症が起きている関節などの滑液に浸透しやすい性質を持つとされ、炎症の原因物質の生成を抑制することで、効果を発揮します。

どのような病気に使われるか

国内では、以下のような症状や疾患に伴う炎症や痛みを軽減するために承認されています。

関節リウマチ
変形性関節症
腰痛症
頸肩腕症候群（首、肩、腕の痛みやしびれ）
肩関節周囲炎（いわゆる五十肩など）

海外、例えばオーストリアでは、これらの他にも手術後の痛みや坐骨神経痛など、より幅広い炎症性疾患に対して使用されることがあります。

この薬を使ってはいけない人

ロルノキシカムは、すべての人に安全に使えるわけではありません。以下に該当する方は、この薬を服用することができません。

現在、または過去に消化性潰瘍（胃潰瘍や十二指腸潰瘍など）がある方
血液に関わる重篤な病気をお持ちの方
肝臓の働きが著しく低下している方
腎臓の働きが著しく低下している方
心臓の働きが著しく低下している方（重篤な心機能不全）
血圧が著しく高い状態（重篤な高血圧症）の方
ロルノキシカムの成分に対して、以前に過敏症（アレルギー反応など）を起こしたことがある方
アスピリンなどのNSAIDによって喘息発作を起こしたことがある方（アスピリン喘息）
妊娠後期（妊娠末期）の女性
授乳中の方（薬の成分が母乳に移行する可能性があるため、服用する場合は授乳を中止する必要があります）

注意すべき副作用

ロルノキシカムには副作用が起こる可能性があります。特に注意が必要な重大な副作用としては、以下のものが報告されています（いずれも頻度は不明です）。

消化性潰瘍、小腸・大腸の潰瘍
ショック、アナフィラキシー様症状（呼吸困難、蕁麻疹など重いアレルギー反応）
血小板の減少
皮膚粘膜眼症候群（スティーブンス・ジョンソン症候群など、皮膚や粘膜に重い症状が現れる病気）
急激な腎臓の機能低下（急性腎不全）
重症肝炎、肝臓の機能障害、黄疸（皮膚や白目が黄色くなる）

これらの重大な副作用以外にも、他のNSAIDと同様に、吐き気、下痢、頭痛などが起こることがあります。これらの一般的な副作用は比較的軽度であるとされていますが、服用中に体調の変化を感じた場合は、速やかに医師や薬剤師に相談することが重要です。

他の薬との飲み合わせ

ロルノキシカムは、他の多くのNSAIDと同様に、いくつかの薬剤との相互作用が知られています。併用する薬によっては、ロルノキシカムや併用薬の効果や副作用に影響を与える可能性があります。

ワルファリンなどの抗血栓薬（ビタミンK阻害薬）：出血するリスクが高まる可能性があります。
シクロスポリン（免疫抑制剤）：腎臓の機能が低下するリスクが高まり、まれに急性腎不全に至ることがあります。
リチウム（気分安定薬）、メトトレキサート（抗がん剤、免疫抑制剤）、ジゴキシン（強心薬）：これらの薬剤の血中濃度を上昇させ、副作用が現れやすくなる可能性があります。
利尿薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬（ARB）：これらの薬剤の血圧を下げる効果や、心臓・腎臓に対する効果を弱める可能性があります。ただし、心不全などの特別な状況を除けば、通常大きな問題とならないことが多いとされています。
ピロキシカム（他のNSAID）、シメチジン（胃酸を抑える薬）：ロルノキシカムの血中濃度が上昇する可能性がありますが、これにより特有の合併症を引き起こす可能性は低いと考えられています。

現在服用している他の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えるようにしてください。

ロルノキシカムは、適切に使用することで炎症や痛みを効果的に和らげる薬剤ですが、その性質上、様々な注意点があります。使用にあたっては、必ず医師の指示に従い、疑問点や不安な点があれば遠慮なく専門家に相談しましょう。

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関連項目

オキシカム
非ステロイド性抗炎症薬（NSAID）

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