ローイ・カンダハール

ローイ・カンダハール（ لوی کندهار）は、「大カンダハール」を意味するパシュトー語に由来し、アフガニスタンの歴史的・文化的地域を指す名称です。現代のアフガニスタンでは、カンダハール州、ヘルマンド州、ファラー州、ウルーズガーン州、ザーブル州、そしてニームルーズ州の一部を含みます。さらに、パキスタンのバローチスターン州北部も、南パシュトゥーン人が多数を占める地域として、ローイ・カンダハールの一部と見なされることがあります。

歴史的背景

1709年、ミール・ワイス・ホータキーはローイ・カンダハールを独立させ、カンダハールを首都とするホータキー朝を築きました。その後、1747年にはアフマド・シャー・ドゥッラーニーがドゥッラーニー朝を創始し、カンダハールをアフガン帝国の帝都と定めました。このように、ローイ・カンダハールは歴史的に重要な役割を果たしてきた地域です。

文化と民族

ローイ・カンダハールの範囲は、そこに住む民族の文化や歴史と深く結びついており、明確な定義はありません。「影響のあるカンダハール文化圏」と表現されることもあります。衣装、ターバン、布地の色、パシュトゥー語など、共通の文化的要素がローイ・カンダハールの民族独自のものとして認識され、地域文化の統合に影響を与えてきました。

例えば、ローイ・カンダハールのパシュトゥーン人は、ターバンの巻き方や色を見るだけで、ローヤ・パクティヤー出身のパシュトゥーン人を見分けることができます。同様に、ローヤ・パクティヤーのパシュトゥーン人も、特定の刺繍が施されたサルワール・カミーズを見ることで、ローイ・カンダハールのパシュトゥーン人を見分けることができます。これらの文化的指標は、歴史書にはあまり記述されていませんが、アフガニスタンやパキスタンのパシュトゥーン人の間で伝統的に受け継がれてきたものです。

主要都市と部族

ローイ・カンダハールで最も大きな都市は、カンダハールとクエッタです。その他、ラシュカルガー、チャマン、カラーチ・ギルジー、ファラー、タリーンコート、ピシーン、ジョーブ、パンジュワーイー、ギリシク、バラー・ブルーク、ギーザーブ、デラーラームなどが主要都市として挙げられます。この地域の人口は、主にドゥッラーニー族、カーカル族、ギルザイ族といった部族によって構成されています。

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