ローバー・600

ローバー600の紹介

ローバー600は、1993年4月に登場したイギリスのローバー・グループによる乗用車で、ローバー・800とローバー・400の間を埋める役割を果たしました。この車両はDセグメントに属し、サイズとしてはミドルクラスに位置付けられ、メルセデス・ベンツ・Cクラス、BMW・3シリーズ、アウディA4、オペル・ベクトラといった競合モデルと対抗しています。

デザインと特徴

ローバー600のボディデザインはリチャード・ウーリーが手掛け、空力特性を反映したCd値は0.31を達成しています。このデザインには英国らしい雰囲気が感じられ、1994年にはブリティッシュデザインアワードを受賞しました。また、一部のメカニズムは、当時の提携先であるホンダの欧州市場向けホンダ・アコードと共有されており、特に日本市場に輸入されたモデルにはホンダ設計のエンジンが搭載されました。

ローバー600には、スウィンドン工場で生産された複数のホンダ製ガソリンエンジンが搭載されました。具体的には、SOHC 16バルブの2.0Lのホンダ・F20Z1型エンジンや、DOHC 16バルブの2.3Lのホンダ・H23A3型エンジンがあり、さらに後にSOHC 16バルブの1.8Lのホンダ・F18A3型エンジンも追加されました。これらのエンジンはすべて4気筒で、振動を軽減するためにツインバランサーシャフトと電子制御油圧エンジンマウントが組み込まれています。

エンジンと性能

日本市場向けに搭載されたホンダ製エンジンは、同系統の車両用エンジンとは細部が異なります。特に上級モデルである623SLiに搭載されたH23A3エンジンは、高性能な4気筒フラッグシップとして位置付けられており、FRM素材のシリンダーライナーや亜鉛メッキのピストンなど、先進的な技術が施されています。排気系も最適化されており、4-2集合エキゾーストマニホールドが使用されています。また、620TiというモデルにはDOHC16バルブの2.0Lガソリンターボエンジンが搭載され、最高速度は230km/hにも達するとされています。

サスペンションとバランス

ローバー600は、前後ともにダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用し、ダンパーとスプリングの分離配置が特徴です。この設計により、効果的なショック吸収が実現されています。

日本市場での展開

ローバージャパンは1994年11月にローバー600の販売を開始し、初のモデルには2.0Lの「620SLi」と2.3Lの「623Sli」がありました。これらのモデルは、輸入車としては比較的安価で、発売から1か月足らずで約1,000台もの受注を記録しました。その後、布シートを使った1.8Lの「618Si」も追加され、全車は4速ATトランスミッションを搭載しています。

後継モデル

1998年に生産が終了し、1999年にはローバー・800と統合された後継車両「ローバー・75」が登場しました。

その他の情報

ダイアナ妃（プリンセス・オブ・ウェールズ）が私用車としてローバー600を使用していたことでも知られています。

ローバー600は、その独自のデザインや技術的特徴により、多くのファンに愛され続けるモデルとなりました。

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