ワン・モア・フロム・ザ・ロード

レーナード・スキナード『ワン・モア・フロム・ザ・ロード』

『ワン・モア・フロム・ザ・ロード』（One More from the Road）は、アメリカのロックバンド、レーナード・スキナードが1976年に発表した初のライブ・アルバムです。1976年7月のアトランタでのライブ録音を収録し、2枚組LPとしてリリースされました。

制作背景

このアルバムは、エド・キングの後任として加入したスティーヴ・ゲインズにとって最初の参加アルバムとなりました。ゲインズ加入後わずか3回目のライブが、本作に収録された7月7日の公演でした。ロニー・ヴァン・ザントは、1976年10月24日付の『ロサンゼルス・タイムズ』のインタビューで、「3人のギタリスト編成で、飾り気のないライブ・アルバムをすぐに制作しようと決めた」と語っています。

アトランタ公演は3日間連続で行われ、プロデューサーのトム・ダウドによれば、バンドとダウドは2日目の公演後にライブ録音を聴き直し、最終日のセットリストはダウドが「もう一度演奏すべき」と判断した曲を中心に構成されたそうです。

アルバムには、過去4作からの11曲に加え、新曲「トラヴェリン・マン」、そして初収録となるカバー2曲が収録されています。「トラヴェリン・マン」は、ベーシストのレオン・ウィルクソンが初めてソングライターとしてクレジットされた楽曲です。ウィルクソンがベースの弦を交換した際に曲を思いつき、その後ロニー・ヴァン・ザントが歌っていたフレーズを聴いて、自身のベースラインに合うと考え完成に至ったとのことです。この曲は後に再結成後のアルバム『トゥエンティ』（1997年）で初のスタジオ・バージョンが収録され、ボーカル・パートの一部には本作に収録されたロニー・ヴァン・ザントの声が使用されました。

「T・フォー・テキサス」はジミー・ロジャーズのカバーで、エド・キング在籍時からのレパートリーでした。「クロスロード」はロバート・ジョンソンの楽曲ですが、アレンジはクリームのバージョンに準拠しています。

アレン・コリンズは、本作に収録された「フリー・バード」のギターソロに不満を持ち、オリジナルLPでは自身のソロの一部をオーバーダビングしました。しかし、そのマスターテープは後に紛失し、2001年発売のデラックス・エディション盤では実際のライブ演奏が使用されています。

反響と評価

アルバムはアメリカのBillboard 200で9位を記録し、バンドにとって2作目の全米トップ10アルバムとなりました。全英アルバムチャートでは17位に達し、初の全英トップ20入りを果たしています。

オールミュージックのStephen Thomas Erlewineは、5点満点中3点を付け、「レーナード・スキナードは優れたコンサートを行い、ツアーバンドとしての名声を確立してきたため、4作目のアルバム『ギミー・バック・マイ・ブレッツ』から数か月後の1976年に2枚組ライブ・アルバム『ワン・モア・フロム・ザ・ロード』を発表したのは理にかなっている」と評価しました。

『ギター・ワールド』誌の編集者Ted Drozdowskiは、本作を「ザ・フーの『ライヴ・アット・リーズ』、オールマン・ブラザーズ・バンドの『フィルモア・イースト・ライヴ』、ジミ・ヘンドリックスの『バンド・オブ・ジプシーズ』、レッド・ツェッペリンの『永遠の詩 (狂熱のライヴ)』と並んで殿堂入りに値する、最も偉大なロック・コンサート・アルバムの一つ」と評し、「フロリダ州ジャクソンビル出身のならず者バンドの演奏面でのピークを記録している」と絶賛しています。

リイシュー

初期の再発CDでは、収録時間の制約から「トラヴェリン・マン」と「T・フォー・テキサス」が割愛された12曲入りとなりました。1996年の再発CDは2枚組で発売され、オリジナルLP未収録の「シンプル・マン」と「ギミー・バック・マイ・ブレッツ」、そして「スウィート・ホーム・アラバマ」の別テイクが追加された17曲入りとなり、曲順も変更されました。

2001年にはデラックス・エディション盤が発売され、前述の3曲に加え、未発表の別テイク3曲やコンピレーション・アルバム『Skynyrd Collectybles』（2000年）初出の別テイク4曲を含む全24曲が収録されました。このリイシュー盤はケヴィン・エルソンとマイク・ウィーヴァーによってリミックスされています。

『ワン・モア・フロム・ザ・ロード』は、レーナード・スキナードのライブ・パフォーマンスの魅力を余すところなく伝える、ファン必携のアルバムと言えるでしょう。

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