ワージング

ワージング：歴史と文化が息づく海辺の街

ワージングは、イングランド南部、ウェスト・サセックス州に位置する美しい海辺のタウンであり、同時にバラ（行政区画）でもあります。ブライトンから西へ約16km、チチェスターからは東へ約29kmの距離に位置し、推定人口は約104,600人、面積は約32.37平方キロメートルです。

古代からの歴史

ワージング周辺地域には、少なくとも6,000年前から人々が生活していた痕跡があります。町の中心部から11km圏内には、国内に14箇所存在する火打石採石場のうち4箇所が集中しており、古代の人々の生活を支えていました。青銅器時代の遺跡や、町の西端に位置するハイダウン・ヒルには、同時代の重要な砦の跡が残っています。

鉄器時代には、イギリス最大級の丘陵砦が築かれました。ローマ・ブリトン時代には、レグネンセスの支配下に入り、この時代に整備された道路が現在も「センチュリー」と呼ばれる碁盤目状の配置として残っています。5世紀から6世紀にかけてはサセックス王国に組み込まれ、「ワージング」という地名もこの頃に定着したと考えられています。

リゾート地としての発展と文化

中世以降、ワージングは何の変哲もない村でしたが、1750年代から富裕層向けの観光地として発展を遂げます。1798年にはイギリス王女アミーリアが訪れ、1803年には正式にタウンとして認められました。町の発展に伴い、クレッセント公園をはじめとする公共施設も整備されました。

19世紀には、密輸業者の拠点となった時期もありましたが、文化的な側面では、詩人オスカー・ワイルドが1893年とその翌年にこの地で休暇を過ごし、代表作『真面目が肝心』を執筆しました。また、ノーベル文学賞受賞者のハロルド・ピンターをはじめ、多くの文学者がワージングを訪れ、創作活動に励みました。

近代・現代のワージング

1934年には、サウス・ストリートの戦いと呼ばれる暴動が発生しました。これは、オズワルド・モズレー率いるファシスト連合とその反対勢力との間で起きた衝突でした。第二次世界大戦中には、連合軍が駐留し、ノルマンディー上陸作戦に向けて出発する拠点となりました。

2019年時点での推定人口は約110,570人、人口密度は1平方キロメートルあたり3,383人と、サセックスの自治体の中で2番目に高い数値を示しています。

交通とスポーツ

ワージングには、ウェスト・コーストウェイ線が走り、イースト・ワージング駅、ワージング駅など複数の駅があります。スポーツでは、ワージングFCが地域に根ざした活動を行っています。

ゆかりのある人物

ワージングは多くの著名な人物と関わりがあります。

ジェイン・オースティン: 滞在経験を遺作『サンディトン』に反映させました。
パーシー・ビッシュ・シェリー: 父がワージング議会の初代議長を務め、自身も初期の作品をこの地で執筆しました。
オスカー・ワイルド: 『真面目が肝心』を執筆し、主人公の苗字に「ワージング」を使用しました。
ハロルド・ピンター: ワージングに居住し、『帰郷』を執筆しました。彼の住居は現在も保存されています。

その他にも、ウィリアム・ハドソン、スティーブン・スペンダー、ドロシー・リチャードソンといった作家がワージングに滞在、またはゆかりがあります。また、哲学者ジョン・セルデン、映画監督ブリット・オールクロフト、女優ニコレット・シェリダン、オーストラリア移民エドワード・ヘンティなどがワージング出身です。

ワージングは、古代からの歴史、リゾート地としての発展、文化人との繋がり、そして現代的な都市としての側面が融合した魅力的な街です。

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