ワールドシリーズ最優秀選手賞

ワールドシリーズ最優秀選手賞 (MVP) について

ワールドシリーズ最優秀選手賞、通称MVP（Most Valuable Player）は、メジャーリーグベースボール（MLB）の最高峰の舞台であるワールドシリーズにおいて、特に卓越したパフォーマンスを発揮した選手に与えられる名誉ある賞です。この賞は1955年に設立され、初期はスポーツ雑誌『スポート』による選定が行われていましたが、現在はシリーズの最終戦を含む一連の試合を経て、記者の委員会や関係者の投票によって決定されます。

最初の受賞者は、1955年のジョニー・ポドレスであり、彼はレギュラーシーズンでは9勝10敗という成績ながら、ワールドシリーズにおいては2試合を完投し、勝利を収めました。さらに1956年にはドン・ラーセンがシリーズでの完全試合という快挙を達成し、MVPに選ばれました。

1960年の受賞者ボビー・リチャードソンは、シリーズ記録となる12打点を挙げたにもかかわらず、チームはピッツバーグ・パイレーツに敗れるという皮肉な結果となりました。このように、MVPは必ずしも勝利したチームの選手に与えられるわけではありません。1977年にはレジー・ジャクソンがシリーズ記録の5本塁打を放ち「ミスター・オクトーバー」の異名を得るなど、数多くのドラマを生んでいます。

歴代受賞者の中で複数回受賞した選手もおり、サンディー・コーファックス（1963年、1965年）、ボブ・ギブソン（1964年、1967年）、レジー・ジャクソン（1973年、1977年）、コーリー・シーガー（2020年、2023年）といった選手たちが名を連ねています。また、1981年のロン・セイ、ペドロ・ゲレーロ、スティーブ・イェーガーの3選手や2001年のランディ・ジョンソン、カート・シリングの2選手が受賞したこともあり、これらの選手は特に注目に値します。

さらに、特筆すべきは1963年のサンディー・コーファックスがシーズンMVPとワールドシリーズMVPを同年に受賞した唯一の選手であり、また1979年のウィリー・スタージェルはリーグチャンピオンシップシリーズMVP、シーズンMVP、ワールドシリーズMVPを同年にもたらした唯一無二の存在です。1988年にはオーレル・ハーシュハイザーがサイ・ヤング賞、リーグチャンピオンシップシリーズMVP、ワールドシリーズMVPの3冠を達成しています。

時代が変わっても、ワールドシリーズMVPの名誉は選手のキャリアにおいて特別な意味を持ち続けています。近年では松井秀喜が2009年にOPS 2.0以上を記録し、この記録は過去の選手の中でも突出して高いものとなっています。

このMVPとは別に、全米野球記者協会ニューヨーク支部によって選出されるベーブ・ルース賞も存在します。こちらはワールドシリーズで素晴らしい活躍をした選手に贈られる賞であり、ワールドシリーズ敗退チームから選ばれることもまれにあります。

これまでのワールドシリーズ最優秀選手賞は、毎年異なるドラマや記録を生み出しており、MLBの歴史とともに数えきれないほどの感動的な瞬間を記録しています。

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