一村一品運動

一村一品運動の概要

一村一品運動（いっそんいっぴんうんどう、英: One Village One Product movement, OVOP）は、1980年に大分県で始まった地域振興の取り組みです。このプロジェクトは、当時の大分県知事、平松守彦の提唱によってスタートしました。

発端と背景

運動の起源は、1961年に日田郡大山町で行われていたNPC運動（New Plum and Chestnut運動）にさかのぼります。この運動は、山間部での農業を活かし、梅や栗といった作物を育てることを目的としていました。「梅栗植えてハワイに行こう」というキャッチフレーズの下、山間部でも栽培可能で、手間の少ない農作物の生産とその加工を通じて地域の特産品を打ち出しました。

平松知事は、この成功事例に着目し、全県に広げる形で一村一品運動を提唱しました。この運動は、「ローカルにしてグローバル」というスローガンのもと、地域独自の特産品を生み出し、国内外で通用するブランドの確権を目指しました。

取り組みの内容

一村一品運動では、各市町村が独自の特産品を選定し、それを育てることが求められます。行政は、市町村の自主的な取り組みを尊重し、技術支援やマーケティングを行う形でサポートします。この結果、特産品の生産が促進され、農林水産業の収益構造の改善を図る狙いがあります。

大分県から生まれた特産品には、シイタケ、カボス、ハウスミカン、豊後牛、関あじ、関さば、大分麦焼酎などがあり、これらはすでに全国的なブランドとして認知されています。2001年の時点で、特産品の種類は336に達し、その中には年間販売額が1億円を超える品目も129あります。総生産額は1,400億円をも超えるなど、地域経済に大きな影響を与えました。

国内外への拡大

一村一品運動は日本国内に留まらず、海外でも広がりを見せています。国際協力機構の青年海外協力隊などを通じて、中華人民共和国、タイ王国、ベトナム、カンボジア、マラウイといった国々にもこの運動が紹介され、実施されています。日本政府も、発展途上国支援の一環として、これら国々における一村一品運動を支援しています。

タイでは、タクシン・シナワット元首相の在任中に「一村一製品運動」として政策が進められ、中華民国では大分県を模範とした「台湾一村一品」プロジェクトが立ち上げられました。さらに、大分県に隣接する熊本県の小国町や南小国町でも類似の運動が実施され、成果を上げています。

大分県の特産品一覧

大分県内の各市町村で育てられている特産品は多岐にわたります。例えば、大分市ではにらやいちご、別府市では竹細工、津久見市ではマグロやトルコギキョウ、宇佐市ではいちごや玉ねぎ、豊後大野市ではしいたけや豊後牛などがあります。

今後の展望

一村一品運動は、地域の特産品を通じての活性化に向けた重要な取り組みです。地域に根ざした生産者の育成や、特産品を地域外に発信することによって、地域の経済の持続可能な発展が期待されています。今後も一村一品運動が展開されることで、多くの地域が活性化され、全国さらには国際的に価値ある特産品が誕生していくことでしょう。

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