一盃口

一盃口（イーペーコー）とは

一盃口（イーペーコー）とは、麻雀における役の一つです。「223344」のように、同種同数の順子が2組ある場合に成立する1翻役であり、鳴いてはいけない門前役です。略してイーペーとも呼ばれます。

別名として一色二順（イッショクリャンジュン）、一色同順（イッショクドウジュン）とも呼ばれ、かつては中国麻雀式に一般高とも表記されていました。一盃口が2つある形は、二盃口という3翻役になります。

概要

一盃口は門前役であるため、副露（フーロ）した場合、つまり鳴いてしまうと認められません。手の中に一盃口が完成していても、チーやポンなどで他の面子を晒して門前を崩すと、一盃口は成立しなくなります。

しかし、一盃口は比較的作りやすい役であり、平和や断么九など他の役と複合することも多く見られます。また、独立した2組の一盃口ができると、二盃口という高得点の役になります。

一盃口を構成する2面子とまったく同一の順子がもう1つ完成した場合でも、一盃口を2回カウントすることはできません。この点には注意が必要です。

また、七対子（チートイツ）とは複合しません。

実戦では、のような形を意識することが多く、ここにを引けば待ちの高目一盃口に、を引けば待ちの高目一盃口の形になります。

牌姿の例

（例）一盃口が確定しているケース

この形は嵌（カン）待ちですが、他にも辺張（ペンチャン）で一盃口が確定するケースもあります。

（例）高目で一盃口になるケース

この形は待ちで、を引けば一盃口が付きますが、の場合は平和のみとなります。当然ながらを切って一盃口を狙う場合は振聴（フリテン）となり、ツモ和了しかできなくなります。

（例）どちらであがっても一盃口になるケース

この形は待ちです。平和で一盃口の完成を待つ例ですが、この形ではどちらが出ても一盃口になります。

（例）出来合いのケース

一盃口が確定しているので、かどちらであがっても一盃口になります。

（例）多門双碰（シャンポン）の一部になるケース

この形は待ちの三門双碰です。

この形は待ちの四門双碰です。

一盃口に特有の現象として、複数通りの双碰待ちが同時に成立することがあります。一盃口に対子が連なって同種の数牌4つか5つの連続したペアがあれば、どこを一盃口と見なすかによって対子と見なせる牌が異なるためです。

（例）一盃口を構成する2面子と同一の順子がもう1つできているケース（一盃口にはとらないケース）

待ちはです。萬子部分を + と解釈するなら、この手はタンピン一盃口で30符3飜、子3900点です（一盃口をもう1つ余分にカウントすることはできません）。しかし萬子部分を + + と解釈すれば、この手はタンヤオ三暗刻で50符3飜、子6400点になります。高点法により、この手は一盃口には取らず、三暗刻にとります。

なお、古いローカルルールでは、この形を一色三順という別の役とすることがありました。また、連続する3刻子を三連刻とするローカルルールもあります。これらローカルルールを採用していれば、この形は一色三順にも三暗刻三連刻にも取れる牌姿です。

一盃口にならない例

一盃口狙いから七対子に移行することも少なくありませんが、和了形が七対子形式と解釈せざるをえない場合には一盃口は数えられません。この例では高目一盃口になるケースと紛らわしいですが、和了牌は一萬だけであり、仮に四萬を切って122334の出来面子を崩す形になったとしても振聴にはなりません（スジ引っかけになる）。

一盃口の名称について

一盃口は戦前のアルシーアル麻雀では採用されていない役であり、これが採用されるようになったのは戦後の関西からです。中国麻雀におけるこの役の漢字表記は「一般高」ですが、日本国内でこの役が伝わるときには「いっぱんこう」や「いっぺいこう」などと呼ばれており正しい漢字表記が分からなかったといわれます。

一盃口の表記を考案したのは報知ルールの提唱者として知られる天野大三であり、「いっぺいこう」が「一杯行こう」に聞こえたことから「盃」と「口」の組み合わせで「一盃口」と当て字し、自著で用いたことでこの表記が普及しています。

一盃口