七尾城 (石見国)

七尾城

七尾城は、島根県益田市七尾町に位置する日本の城です。その城跡は、同じく益田市三宅町にある三宅御土居跡と共に、国の史跡「益田氏城館跡」として指定されています。

概要

七尾城は、鎌倉時代の建久年間に石見国の国司として益田荘を本拠とした益田氏によって築かれました。標高約120メートルの七尾山に築かれ、歴代の益田氏が居館とした三宅御土居などの詰めの城としての役割を担っていました。山頂の本丸跡からは、益田平野から日本海までを一望できます。三宅御土居跡とは、益田川を挟んで870メートルの距離に位置しています。

発掘調査の結果、大小40以上の曲輪、空堀、土塁、井戸跡などが発見されました。また、戦国時代後期のものと推定される礎石建物や遺物が多数出土しており、毛利元就と対立していた頃の益田藤兼とその家臣たちが居城としていたことが示唆されています。これは、従来の山城のイメージを覆すもので、戦時のみに使用される城郭ではなかったことを物語っています。

歴史

築城時期については諸説ありますが、一般的には建久4年（1193年）に益田兼高によって築城されたとされています。史料に初めて登場するのは南北朝時代で、延元元年（1336年）に南朝方の三隅氏が「北尾崎木戸」（当時の大手口）を急襲したという記録が益田家文書に残っています。

戦国時代後期には、益田氏は陶氏と縁戚関係にあり、大寧寺の変でも陶隆房（後の陶晴賢）に協力していました。しかし、陶晴賢が天文24年（1555年）の厳島の戦いで毛利元就に敗れると、当時の益田氏当主であった益田藤兼は、毛利勢の攻撃に備えて城を大規模に改修しました。この際、藤兼とその家臣たちは、三宅御土居から七尾城内に移住したとされています。その後、藤兼は元就に降伏し、毛利氏の家臣となりました。藤兼の子である益田元祥は、後に三宅御土居に居館を戻しています。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで毛利輝元が敗北し、周防国・長門国の2ヶ国へ減封されると、益田元祥も毛利氏に従って長門須佐へ移り、七尾城は廃城となりました。

現在

廃城時、城の大手門は医光寺に移築され、総門として現存しています。この「医光寺総門」は、1961年（昭和36年）に島根県の指定文化財に指定されました。

昭和40年代には、三宅御土居跡と共に島根県の史跡として指定されました。そして、2004年（平成16年）9月30日には、再び三宅御土居とセットで国の史跡「益田氏城館跡」となりました。

関連情報

益田氏
日本の城一覧
中国地方の史跡一覧

外部リンク

国指定文化財等データベース
* 旧益田をゆく（七尾城）

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