清水峠

清水峠（しみずとうげ）

清水峠は、群馬県みなかみ町と新潟県南魚沼市の県境、上越国境に位置する標高1,448mの峠です。中央分水嶺を構成する三国山脈・谷川連峰上にあり、上信越高原国立公園に含まれています。周辺は豊かな自然に恵まれ、利根川と信濃川の源流となっています。

歴史

清水峠越えの道は、古くは「直越」など様々な名前で呼ばれていました。上野国と越後国を結ぶ最短ルートとして、三国峠とともに古くから利用されてきました。越後の戦国大名・上杉謙信が軍事利用したことから「謙信尾根」とも呼ばれています。

江戸時代には、幕府が湯檜曽と清水に関所を設置して通行を制限したため、特別な許可を得た地元住民以外にはほとんど利用されませんでした。しかし、江戸末期には越後米の輸送ルートとして、清水峠の開削計画が持ち上がりましたが、実現には至りませんでした。

明治時代に入り、関所が廃止されると、清水峠の重要性が再び注目され、新道が建設されました。1885年には国道8号に指定されましたが、豪雪地帯であるため雪崩による被害が大きく、数年で通行不能となり、放棄されました。

その後、六日町の商人が新しい登山道を開通させましたが、鉄道の開通により旅客需要は激減し、峠の休泊所や茶屋も閉店しました。

現状

現在、国道291号のうち清水峠前後の約27kmは自動車通行不能区間に指定されています。群馬県側では一部迂回路を利用して徒歩で通行可能ですが、国道は遠回りになるため、登山道を利用する人が多いです。新潟県側では、国道に加え、謙信尾根や居坪坂などの登山道があります。しかし、国道の一部区間は廃道状態となっており、踏破は非常に困難です。

交通

鉄道や高速道路は、清水峠に近いルートを長大トンネルで通過しています。上越線や上越新幹線、関越自動車道などがその例です。トンネルの名称に「清水」と入っているものもありますが、清水峠の直下ではなく、少し離れた場所を通っています。

登山

清水峠周辺は、登山ルートとしても人気があります。謙信尾根や居坪坂などのルートがあり、豊かな自然を満喫できます。群馬県側からは、旧道や新道を利用して清水峠を目指すことができます。また、谷川岳から清水峠へと続く県境稜線も、登山者に人気のルートです。

ルート

新潟県側
謙信尾根（十五里尾根）
井坪坂（居坪坂）
群馬県側
旧道（明治国道）
新道（一ノ倉沢トレッキングコース）
県境稜線

南西から：谷川岳 - 一ノ倉岳 - 茂倉岳 - 武能岳 - 蓬峠 - 七ツ小屋山 - 冬路ノ頭 - 清水峠
* 南東から：白毛門 - 笠ヶ岳 - 朝日岳 - ジャンクションピーク - 清水峠


清水峠は、その歴史と自然の豊かさから、多くの人々を魅了し続けています。しかし、自動車での通行が困難な区間も存在するため、訪れる際には十分な準備が必要です。ハイキングや登山を楽しむ際には、送電線巡視路に注意し、安全に配慮して行動しましょう。

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