三國志英傑伝

『三國志英傑伝』は、1995年2月に光栄（現コーエーテクモゲームス）から発売されたシミュレーションロールプレイングゲームです。光栄が提唱する独自のゲームジャンル「リコエイションゲーム」に属し、キャンペーン形式の戦術級システムを採用しています。プレイヤーは蜀の初代皇帝である劉備となり、中国の統一と漢王朝の復興を目指します。

開発は光栄が担当し、プロデューサーはフクザワ・エイジ氏、音楽は作曲家の吉田明永氏が手掛けました。PC-9801版の発売後、スーパーファミコン、セガサターン、PlayStationなどの家庭用ゲーム機に移植され、2007年には携帯電話ゲームとしても配信されました。また、Windows版としては、Windows 3.1版とは別に、PC-9801版を復刻収録した『コーエー25周年記念パック Vol.4』や、その単体版である「コーエー定番シリーズ」が発売されています。

後に『三國志孔明伝』（1996年）が発売され、以後『英傑伝シリーズ』として独立したシリーズとなっています。

ゲーム内容

ゲームは、城や村などでの物語パートと戦場での戦闘パートを繰り返しながら進行します。物語パートでは、他の登場人物との会話や情報収集、アイテムの入手、人材収集などを行い、戦闘パートでは劉備や配下の武将たちを操作して勝利を目指します。物語は基本的に小説『三国志演義』の内容に沿って進みますが、途中でいくつかの分岐点が存在し、必ずしも『三国志演義』通りの展開にはなりません。例えば、「曹丕が司馬懿に暗殺される」や「麦城で関羽が生き残る」といった独自の展開も用意されています。登場する武将は約240人に及び、それぞれ異なるパラメータ値が設定されています。『三国志演義』には登場しないオリジナルの武将も、敵味方問わず登場します。

エンディング

コンシューマ版では、エンディングまでのターン数が記録されており、そのターン数によってエンディングが変化することがあります。中には、劉備が最もレベルの低い部下に暗殺されるといった理不尽な結末を迎えることもあります。主なエンディングの種類は以下の通りです。

献帝が劉備に帝位を譲り、皇太子に劉禅または劉封を任命する（レベルの高い方が皇太子になる）。
天下統一を果たすが、劉備が最もレベルの低い部下に暗殺される。
天下統一を果たすが、劉備がレベルの高い部下を重用し、最もレベルの低い部下に嫉妬されて反乱を起こされる。その結果、劉備は失脚する。
天下統一を果たすが、腐敗が横行し、劉備が董卓のように肥満化する。
天下統一を果たすが、劉備の死後に群雄割拠の状態に逆戻りする。
曹操を倒したが、劉備が病に倒れる。その後、司馬氏が魏を再建し、呉と同盟して蜀漢と争う。
張飛が夷陵の戦いを起こし敗北、劉備は病死する。

また、以下のようなバッドエンディングも存在します。

夷陵の戦いで敗北し、病死する劉備（三章五幕）。
袁紹との内通を疑われ殺害される劉備（二章一幕、GBA版ではゲームオーバー表示）。
曹操暗殺が露見し、夏侯惇に殺害される劉備（一章五幕、GBA版ではゲームオーバー表示）。

評価

各機種版に対するゲーム雑誌の評価は以下の通りです。

スーパーファミコン版
ファミ通クロスレビュー: 24点（満40点）
ファミリーコンピュータMagazine読者投票: 20.7点（満30点）
PlayStation版
ファミ通クロスレビュー: 26点（満40点）
PlayStation Magazine読者投票: 18.4点（満30点）
セガサターン版
ファミ通クロスレビュー: 25点（満40点）
SATURN FAN読者投票: 21.5点（満30点）
ゲームボーイアドバンス版
* ファミ通クロスレビュー: 27点（満40点）

『三國志英傑伝』は、三国志の世界観をベースに、独自のストーリー展開と戦略性豊かなゲームシステムが特徴の作品です。プレイヤーの選択によって物語が変化し、さまざまなエンディングを迎えることができるため、繰り返しプレイする楽しみがあります。また、シリーズ化されるほどの人気を博し、多くのファンに愛されています。

もう一度検索