三國志孔明伝

『三國志孔明伝』は、1996年4月に光栄（現・コーエーテクモゲームス）から発売された、キャンペーン形式の戦術級シミュレーションRPGです。「英傑伝シリーズ」の2作目にあたり、プロデューサーはフクザワ・エイジ氏が務めました。当初はMicrosoft Windows版がリリースされ、その後、各種家庭用ゲーム機に移植されたほか、「コーエー定番シリーズ」として廉価版も発売されました。

作品概要

プレイヤーは蜀（蜀漢）の丞相である諸葛亮となり、中国統一と漢王朝の復興を目指します。物語の基本は小説『三国志演義』に沿っていますが、終盤からはゲームオリジナルの展開が繰り広げられます。ゲーム内では諸葛亮の寿命が設定されており、敗北によるリトライを繰り返すと、物語が史実通り諸葛亮が死亡する展開に分岐します。

コンシューマ版では、龐統や関羽を生存させたり、劉禅を廃位して諸葛亮が自ら帝位に就くといった、史実とは異なる展開も可能です。ゲームボーイアドバンス版では、各キャラクターの人物伝やフリーシナリオが追加され、より深くゲームを楽しめるようになっています。

各章解説

第一章 三国鼎立
諸葛亮が初めて表舞台に登場するところから、夷陵の戦いまでが描かれます。初期の劉備軍の武将は、諸葛亮と趙雲を除き、ほとんどが戦死や裏切りで第二章以降は使用できなくなります。PC版では龐統を生存させる手段はなく、関羽も麦城で討ち取られ、劉備は夷陵の敗戦が原因で崩御します。コンシューマ版では、選択肢や特定の戦闘での行動により、龐統を生存させることが可能です。その結果、関羽も生存する可能性があり、夷陵の戦いを回避して第二章に進むこともできます。

第二章 南征編
陽平関での魏軍迎撃から南蛮平定までが描かれ、この章から蜀を支える新たな武将たちが仲間に加わります。PC版では、一部の武将がPC版のみで仲間に加わります。コンシューマ版では、夷陵の戦いを回避した場合、劉備、関羽、張飛の3人は成都の守備のために戦線から離脱します。また、南蛮の王である孟獲を撃破した回数によって、その後の展開が変化します。夷陵の戦いを回避した場合は、南蛮平定後に劉備が崩御します。

第三章 北伐・前編
諸葛亮が劉禅に北伐を願い出て、街亭での敗戦までが描かれます。この章から司馬懿が敵将として登場します。PC版では、街亭の戦いで敵を全滅させても「漢中撤退戦」に移行し、クリア後に馬謖を処刑するか否かの選択を迫られます。馬謖を処刑すると一部の武将を除きレベルが上昇し、処刑しない場合は馬謖が生存します。コンシューマ版では、街亭の戦いで敵を全滅させると「漢中撤退戦」には移行せず、馬謖を処刑する選択もなくなります。また、関羽が生存している場合は、北伐開始前に引退し、関興・関索・張苞のレベルが上昇します。黄忠と厳顔も引退を申し出て、それぞれ武器を譲ってくれます。

第四章 北伐・後編
再び北伐を開始してから、五丈原の戦いまでを描かれます。この「五丈原の戦い」までに諸葛亮の寿命が残っているかどうかでシナリオが分岐し、寿命が残っていれば最終章へ、残っていなければバッドエンドとなります。コンシューマ版では、街亭の戦いで馬謖が撤退しており、馬謖の罪を許していた場合は、劉禅からの帰還命令に反旗を翻すことも可能です。

最終章 三國志孔明伝
ゲームオリジナルの展開となり、五丈原から長安への進撃、そしてクーデターで魏の実権を握った司馬懿との洛陽での最終決戦が描かれます。この章では、諸葛亮の息子である諸葛瞻が仲間に加わり、これまでの選択によって能力が変化します。コンシューマ版では、孟獲を捕らえた回数が一定以下だと、呉との戦いの前に再び蜂起した孟獲と戦うことになります。

このように、『三國志孔明伝』は三国志の物語をベースにしつつも、プレイヤーの選択によって様々な展開が楽しめる、戦略性と物語性が融合した作品です。

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