三好義興

三好義興：若き智将、その生涯と死

三好義興は、戦国時代の武将で、三好長慶の嫡男として生まれました。父の跡継ぎとして期待された義興は、若くしてその才能を発揮し、周囲から将来を嘱望される存在でした。

生涯

1542年、三好長慶の嫡男として生まれた義興は、1552年に元服し、孫次郎慶興と名乗りました。1559年には父と共に上洛し、足利義輝に仕えるようになります。同年には、義輝から「義」の字を賜り、義長と改名、後に義興と改めました。

1560年には従四位下・筑前守に叙任され、父が河内飯盛山城へ移ると、摂津芥川山城を任されました。この頃、三好氏の本拠地は芥川山城のままであったという説もあり、義興が家督を継承した後に父が飯盛山へ移ったという見解もあります。

1561年、松永久秀と共に従四位下に昇叙し、足利将軍家の紋である桐紋の使用を許されました。さらに、御供衆・相伴衆にも任じられ、幕府内での地位を確立しました。

義興は、父に劣らず智勇に秀でており、六角義賢が京都に侵攻した際には、7,000の兵を率いて六角軍と交戦しました。この戦いでは、一時的に劣勢に立たされるも、松永久秀の反撃により勝利を収めました。その後も、畠山高政との戦いでは、叔父である三好実休を失うものの、畠山軍を撃破し、京都を奪還しました。京都北山で伊勢貞孝が反乱を起こした際も、松永久秀と協力して鎮圧に成功しました。

1563年、義興は病に倒れ、曲直瀬道三などの治療も虚しく、8月25日に芥川山城で死去しました。享年22歳。死因は黄疸と伝えられています。

義興の死後、三好氏の家督は従弟の三好義継が継承しました。義興の嫡男とされる三好義資は、後に米子へ移り、その子孫は農民や町人として生き延びたと言われています。

人物・逸話

義興は教養人であり、将軍・足利義輝や公家からの信望も厚かったとされています。特に義輝とは親交が深く、義興は長慶とほぼ同等の優遇を受けていました。また、義興が義輝を擁立する体制を新たに構築したという推測もあります。

死去に関する憶測

義興の死に関しては、松永久秀による毒殺説が噂されました。しかし、一次史料にはその記述はなく、後世の軍記物で広まった風聞に過ぎません。むしろ、当時の資料には、義興の死因について懐疑的な見方が記されていることもあります。父である長慶は、最愛の息子である義興の死により心身に異常をきたし、翌年に病没したとされています。

『続応仁後記』では、義興は父祖に劣らぬ器量の持ち主であり、天下を治める人物であったと評されています。その早世を惜しむとともに、久秀の毒殺説については、根拠のない噂に過ぎないと指摘しています。

墓所

義興の墓所は、高槻市の霊松寺にあり、自然石で作られた墓石は「三好のカンカン石」と呼ばれています。

義興の生涯は、その若さにも関わらず、戦国時代の激動の中で重要な役割を果たしたことを示しています。その死は、三好氏の勢力に大きな影響を与え、後の歴史に様々な憶測を呼ぶこととなりました。

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