三宅観瀾

三宅観瀾（みやけ かんらん）

三宅観瀾は、延宝2年（1674年）に生まれ、享保3年8月21日（1718年9月15日）に没した江戸時代中期の著名な儒学者です。名は緝明（つぐあき）、字は用晦（ようかい）、通称は九十郎（くじゅうろう）、号を観瀾と称しました。彼は、大坂懐徳堂の学主である三宅石庵を兄に持ちます。

生涯

観瀾は、延宝2年（1674年）に京都で、町人儒者である三宅道悦の次男として生を受けました。幼少の頃より学問に励み、初めは浅見絅斎（あさみ けいさい）に師事し、後に木下順庵（きのした じゅんあん）の門下に入り、朱子学を深く学びました。元禄11年（1698年）には江戸へ下り、翌元禄12年（1699年）に栗山潜鋒（くりやま せんぽう）の推薦により水戸藩に仕えることとなります。

水戸藩では、彰考館（しょうこうかん）総裁であった鵜飼錬斎（うかい れんさい）が、観瀾が以前に書いた楠木正成に関する文章を徳川光圀（とくがわ みつくに）に呈覧したことがきっかけとなり、彰考館編修として『大日本史』の編纂事業に従事しました。主に、新田義貞、楠木正成、名和長年らの伝記を執筆し、その才能を発揮しました。元禄13年（1700年）には200石を給与され、宝永5年（1708年）には編修の職務と兼務で進物番に昇進しました。宝永7年（1710年）には彰考館総裁に任命され、その責任を担いました。

正徳元年（1711年）、新井白石（あらい はくせき）の推薦により江戸幕府に登用される機会を得ましたが、徳川吉宗が将軍職を継いだ際に新井白石が失脚したため、連座を恐れて『懐書』という弁明書を提出しました。この中で、自らが木下順庵の門下であることを否定しています。

享保3年（1718年）に観瀾は亡くなりました。その死は、梁田蛻巖（やなだ ぜいがん）をはじめとする多くの文人たちに惜しまれました。墓所は東京都文京区の龍光寺にあります。明治40年（1907年）には、その功績が認められ、従四位が追贈されました。

著書

観瀾は、数多くの著作を残しました。

『中興鑑言』：建武の新政における後醍醐天皇の政治の得失を論じたもので、南朝正統論を主張しています。
『支機間談』：朝鮮使節に随行した学士書記との間で交わされた唱和筆談の文章を集録したものです。
『烈士報讐録』：赤穂浪士の行動について論じたものです。

参考文献

原念斎『先哲叢談』（平凡社〈東洋文庫〉、1994年）
吉田一徳『大日本史紀伝志表撰者考』（風間書房、1965年）
水戸市史編さん委員会『水戸市史』中巻（1969年）

三宅観瀾は、その学識と水戸藩、そして日本の歴史編纂に尽力した功績により、後世に語り継がれるべき人物です。

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