梁田蛻巖

梁田蛻巖（やなだ ぜいがん）

梁田蛻巖（1672年 - 1757年）は、江戸時代中期に活躍した漢詩人です。本名は邦美、字は景鸞、通称は才右衛門と称しました。

生涯

蛻巖は、旗本の家臣の家に生まれ、江戸で育ちました。11歳で幕府儒官の人見竹洞に入門し、新井白石や室鳩巣といった、当時の知識人たちと交流を深めます。元禄6年（1693年）には加賀藩に儒者として仕えますが、程なくして辞職。その後は美濃の加納藩や播磨の明石藩に出仕しました。

晩年に至るまで漢詩の大家として広く敬われ、江村北海や稲垣白嵓など、多くの門下生を育てました。宝暦7年（1757年）、明石にて86歳で没し、墓は兵庫県明石市日富美町の本立寺にあります。

漢詩

蛻巖の詩は、その作風の変化と、多様な影響を受けたことで知られています。江村北海は、蛻巖の「徐文長の詠雪に和す」という詩を「尖新にして精巧」と高く評価しました。蛻巖自身も、成唐の詩人たち、袁中郎、鍾惺、譚元春などの影響を受け、常に詩風を変化させています。

「天賦の才能を持ちながらも、極限まで鍛錬を重ね」、晩年に至るまで、その思いを字句に潜ませ続けました。浅野長祚は、著書『寒檠璅綴』の中で、『蛻巖集』を好学の士のための必読書として挙げています。中根香亭は、新井白石、室鳩巣、三宅観瀾の詩と比較し、「蛻巖は不遇であり、他の三氏の栄達には及ばないものの、その風流高逸の境地は三氏の想像も及ばない」と評しています。

著作

梁田象水編『蛻巖集』4巻（寛保2年（1742年））
『蛻巖先生答問書』3巻
梁田忠山編『梁田蛻巖全集』

訳注

徳田武訳注『江戸詩人選集 第二巻　梁田蛻巌、秋山玉山』岩波書店、1992年、再版2002年

参考文献

松下忠『江戸時代の詩風詩論』（明治書院、1972年）
徳田武『江戸詩人傳』（ぺりかん社、1986年）
江村北海『日本詩史』岩波文庫、復刊1988年、2005年
浅野長祚『寒檠璅綴』（風俗繪巻圖畫刊行會、1919年）

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