三宮町:神戸の中心商業地域の歴史と変遷
神戸市中央区に位置する
三宮町は、一丁目から三丁目まであり、郵便番号は650-0021です。JR
三ノ宮駅の南西、
フラワーロードの西側に位置し、鯉川筋の東、旧居留地の北に広がるエリアで、数多くの商業ビルや大規模店舗が立ち並ぶ神戸の
中心市街地を形成しています。
三宮神社など歴史的建造物も存在し、古くからの歴史と近代的な発展が共存する地域と言えるでしょう。
地理的位置と周辺環境
三宮町は、東を
フラワーロードを挟んで加納町、南を江戸町、京町、浪花町、播磨町、明石町、西町と順に隣接し、西は
元町通、北は
北長狭通に接しています。周辺には、鉄道駅、商業施設、オフィスビルなどが集中しており、神戸経済の中枢として機能しています。特に、
三宮神社が位置する二丁目は、歴史と現代が交差するエリアとなっています。
歴史的背景
『
八部郡地誌』によると、
三宮町は
1878年(明治11年)に正式な町名となりました。それ以前は神戸村の一部であり、神戸町、神戸区、
神戸市、神戸区、
生田区と変遷を経て、
1980年(昭和55年)に中央区に編入されました。明治中期から区制施行までは「神戸
三宮町」と呼ばれていました。
町名の由来は、この地域に鎮座する
三宮神社に因みます。
三宮神社は、生田神社の裔神八社の一つです。この神社の存在が、この地域の歴史と文化に深く関わっていると言えるでしょう。
発展の軌跡
三宮町の発展は、交通網の整備と産業の発展と密接に関連しています。以下に重要な出来事を年代順に示します。
1873年(明治6年): 神戸の山手に南北五条の道路が完成。東から3番目の道路が三ノ宮筋と命名されました。この道路網の整備が、後の発展の基礎となりました。
1874年(明治7年): 国鉄(現JR)
三ノ宮駅が開業(現在の元町駅付近)。鉄道の開通は、この地域の交通の要衝としての地位を確立させました。
1876年(明治9年): アメリカ商人
ウォルシュ兄弟らによって
神戸製紙所(後の
三菱製紙)が建設され、
1879年(明治12年)に開業しました。製紙工場の建設は、地域の産業発展に貢献しました。
1878年(明治11年): 三宮町が正式な町名となります。
1893年(明治26年): 神戸警察署(後に
三宮警察署、
生田警察署と改称)が完成しました。これは、地域の治安維持に大きく貢献しました。
1894年(明治27年): 三宮町が一丁目から三丁目に分割されました。
1901年(明治34年): 神戸製紙所が高砂町(現・
高砂市)に移転しました。
1905年(明治38年): 阪神電気鉄道が開通しました。鉄道網の発展は、地域の交通利便性を飛躍的に向上させました。
1910年(明治43年)、1912年(大正元年): 神戸電気鉄道の開通により、市電網が整備されました。
1931年(昭和6年): 国鉄
三ノ宮駅が現在地に移転しました。駅周辺の開発が加速しました。
1933年(昭和8年): 阪神電気鉄道三宮終点ビルに
そごう神戸支店が移転しました。商業施設の集積が始まり、商業の中心地として発展しました。
1934年(昭和9年)、1936年(昭和11年): 国鉄元町駅、阪神元町駅が開業し、
阪神急行電鉄(現阪急電鉄)が
三宮に乗り入れました。交通網の充実により、
三宮はますます重要な交通拠点となりました。
1946年(昭和21年): 三宮センター街が誕生しました。
1965年(昭和40年)、1966年(昭和41年): 三宮地下街・
さんちかタウン(現・
さんちか)が開業し、市街地再開発が始まりました。地下街の開業は、商業施設の充実と利便性の向上に貢献しました。
1977年(昭和52年)、1980年(昭和55年): 生田警察署が移転、加納町の一部が編入されました。
1985年(昭和60年)、2001年(平成13年): 神戸市営地下鉄西神・山手線、海岸線がそれぞれ開通しました。地下鉄の開通は、地域の交通網をさらに強化しました。
経済と人口
三宮町は、古くから商業が盛んな地域でした。足立守太郎氏(
羽織絣半襟商)など、多くの商人がこの地で商売を営んでいました。人口は変遷しており、明治25年(1892年)には約3,866人、大正9年(1920年)には約4,607人、昭和35年(1960年)には約3,111世帯、3,111人と推移してきました。平成17年(2005年)の国勢調査では、世帯数44、人口84人となっています。これは、近年の再開発や商業施設の集積に伴い、居住人口が減少していることを示しています。
参考文献
人事興信所編『人事興信録 第13版 上』人事興信所、1941年
神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年
* 「
角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三 編『
角川日本地名大辞典 28
兵庫県』角川書店、1988年