三島王

三島王の生涯と功績

三島王（みしまおう）は、奈良時代の皇族であり、天武天皇の孫として宇治の地に名を残した人物です。彼は舎人親王の第四子であり、淳仁天皇の兄としても知られています。彼の生没年は不詳ですが、歴史的な記録からその存在を窺い知ることができます。

経歴と官位

養老7年（723年）、三島王は元正天皇の中宮の儀式において、栗栖王や春日王とともに無位から従四位下に叙せられました。これは彼にとって重要な出世の一歩と考えられます。しかし、その後の官職での昇進は見られず、天平7年（736年）には相模国の「封戸租交易帳」に食封50戸があったことが記録されています。ただし、この時点でも三島王の位階は従四位下のままでした。

一方、淳仁天皇の廃位に伴い、王の娘である川辺女王と葛女王は伊豆国に配流されるなど、彼の家族も歴史の波に翻弄されていました。しかし、宝亀2年（771年）には彼女たちが皇籍を回復したことが確認されています。この際、彼女たちは「（故）従四位下三嶋王の女」として位置づけられ、王の生涯を通じて位階の変化はなかったことが示唆されています。

家族

三島王の家族についても興味深い事実が残っています。父は舎人親王であり、その母についての情報は不詳です。しかし、王には子どもが二人いました。息子の林王は、宝亀2年9月に「山辺真人」という姓を受けました。また、娘たちは川辺女王と葛女王として記録されており、彼らの存在が三島王の家系を忍ばせます。

文学との関わり

三島王は詩人としても知られています。『万葉集』には、天平2年（731年）の頃に詠まれた王の歌が収められています。この歌は後に松浦佐用姫の歌に対する追和として詠まれたもので、王の詩的感性を窺わせる一文でもあります。この文学的な側面が、彼の存在感をより一層際立たせています。

最後の時

王の没年は明確には記録されていませんが、天平宝字8年（764年）、娘たちの配流があった頃に亡くなったと考えられています。従いまして、三島王は奈良時代の皇族として、その存在感を薄れさせずに歴史の中に息づいていました。

参考文献

三島王に関する情報は、『続日本紀』や『萬葉集』などの歴史的文献から確認することができます。これらの資料は、彼の名を後世に伝える重要な役割を果たしています。

もう一度検索