三帖和讃

三帖和讃とは

三帖和讃（さんじょうわさん）は、鎌倉時代の僧侶である親鸞（しんらん）によって著された『浄土和讃』、『高僧和讃』、『正像末和讃』の三つの和讃集をまとめた総称です。この名称は南北朝時代頃から使われるようになりました。

高田派においては、これに『皇太子聖徳奉讃』を加えたものを「四帖和讃」と呼ぶこともあります。三帖和讃は、1953年（昭和28年）に国宝に指定され、その歴史的、文化的価値が認められています。

親鸞は、これらの和讃を晩年まで加筆、修正し続けましたが、完全な真跡本は発見されていません。現在確認できる真跡は、専修寺に所蔵されている「国宝本」の一部のみです。そのため、「文明本」をはじめとする多くの書写本が残されており、これらは書写の過程で加筆や修正が加えられたため、和讃の数や順序が写本によって異なっています。

その後、本願寺第八世の蓮如（れんにょ）によって、「正信念仏偈」とともに「三帖和讃」（文明本）が開版され、門徒の朝夕の勤行で用いられるようになりました。

各和讃について

1. 浄土和讃

『浄土和讃』（じょうどわさん）は、宝治2年（1248年）頃に書かれたとされる和讃集で、「三帖和讃」の一つです。全118首の和讃で構成されています。

2. 高僧和讃

『高僧和讃』（こうそうわさん）は、『浄土和讃』と同じく宝治2年（1248年）頃に書かれたとされ、『浄土高僧和讃』とも呼ばれます。「三帖和讃」の一つで、親鸞が選んだ「七高僧」を讃える119首の和讃から成ります。

3. 正像末和讃

『正像末和讃』（しょうぞうまつわさん）は、正嘉元年（1257年）頃に書かれたとされる和讃集で、正像末法和讃とも呼ばれます。「三帖和讃」の一つであり、116首の和讃で構成されています。

三帖和讃の特徴

三帖和讃は、仏教の教えを分かりやすい言葉で表現した和讃（仏教の讃歌）であり、親鸞の思想を伝える上で非常に重要な著作です。特に、阿弥陀如来の本願を称え、浄土への往生を願う内容が中心となっています。

これらの和讃は、仏教の専門家だけでなく、一般の人々にも広く親しまれており、多くの人々の信仰生活に深く根付いています。また、その文学的な価値も高く評価され、日本の古典文学を語る上でも欠かせない存在となっています。

参考文献

名畑應順 校注『親鸞和讃集』岩波書店〈岩波文庫 青318-3〉、1976年。ISBN 4-00-333183-4
伊藤博之 校注『歎異抄 三帖和讃』新潮社〈新潮日本古典集成 46〉、1981年。ISBN 4-10-620346-4

関連文献

石田瑞麿訳 『親鸞全集 第4巻 和讃　消息 他』 春秋社、新装版2010年

関連項目

勤行 (真宗大谷派)
ご詠歌

外部リンク

SAT DB（大正新脩大藏經テキストデータベース）
『淨土和讃』（續諸宗部 Vol.83）
『淨土高僧和讃』（續諸宗部 Vol.83）
『正像末法和讃』（續諸宗部 Vol.83）
（参考）『皇太子聖徳奉讃』（續諸宗部 Vol.83）
WikiArc
『正像末和讃』 - 原文、注釈付き

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