三条公忠

三条公忠：南北朝時代の公卿、後小松天皇の外祖父

三条公忠（さんじょう きんただ）は、南北朝時代に活躍した公卿です。清華家である三条家の嫡流に生まれ、最終的には従一位内大臣にまで昇りつめました。後押小路内大臣とも号し、その存在は当時の政治や文化に大きな影響を与えました。

生涯

公忠は嘉暦3年（1328年）に元服し、元弘3年（1333年）には左近衛中将に任じられます。その後も順調に昇進を重ね、建武4年（1337年）に従三位に叙されました。康永2年（1343年）には権中納言、貞和3年（1347年）には権大納言、延文5年（1360年）には内大臣に任じられるなど、着実にキャリアを積み重ねていきました。

以下に、公忠の詳しい昇進履歴を示します。

元亨4年（1324年）9月2日：従五位下
嘉暦元年（1326年）9月4日：従五位上
嘉暦2年（1327年）9月21日：正五位下
嘉暦3年（1328年）9月30日：従四位下
嘉暦4年（1329年）1月13日：侍従
元徳3年（1331年）1月5日：従四位上
元弘2年（1332年）1月5日：正四位下
元弘3年（1333年）6月：従四位上（一旦戻される）、同月12日：正四位下、同年8月23日：左中将
建武元年（1334年）1月13日：播磨介を兼任
建武4年/延元2年（1337年）12月4日：従三位
暦応2年/延元4年（1339年）1月13日：甲斐権守を兼任
暦応3年（1340年）12月27日：正三位
康永2年（1343年）3月19日：権中納言
貞和2年（1346年）2月21日：従二位
貞和3年（1347年）1月4日：父・実忠の薨去により喪に服す、6月28日：復任、9月16日：権大納言
文和4年（1355年）8月13日：正二位
延文5年（1360年）9月30日：内大臣
康安2年（1362年）12月：内大臣を辞退、同月27日：従一位
永徳3年（1383年）12月24日：薨去（享年59歳）

永徳3年（1383年）に59歳で亡くなるまで、激動の時代を生き抜き、公卿としての地位を確立しました。

人物

公忠は日記『後愚昧記』の記者としても知られています。この日記は、当時の社会情勢や公忠自身の考えを知る上で貴重な資料となっています。

また、娘の藤原（三条）厳子（通陽門院）は後円融天皇の後宮に入り、後小松天皇の生母となりました。そのため、公忠は後小松天皇の外祖父にあたります。しかし、厳子の薨去の際、足利義満が後小松天皇を准父として上皇の礼遇を得ようとする策略を三条家は受けてしまうという出来事もありました。

系譜

公忠には多くの子息がおり、中には太政大臣にまで上り詰めた実冬や、後小松天皇の生母となった厳子もいます。多くの子息は出家しており、他家から公忠の猶子となった者もいました。

父：三条実忠（1304-1347）
母：左中将藤原公直の娘
妻：大宮季衡女
女子：三条厳子（1351-1407） - 通陽門院（後小松天皇の生母）
男子：三条実冬（1354-1411） - 太政大臣
男子：実円
男子：実禅
男子：乗通（久我具通のもとで子息の儀を受けた）
男子：義韶
男子：千夜叉丸
男子：尊竹丸
男子：実顕禅師（公忠の「為子」とされた人物）
女子：栄宗（賀茂瓦屋比丘尼）

まとめ

三条公忠は、南北朝時代の公卿として、また文化人として、多岐にわたる足跡を残しました。彼の日記『後愚昧記』は、当時の社会を知る上で重要な資料であり、後小松天皇の外祖父として、歴史に名を刻んでいます。

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