上の湯温泉

上の湯温泉

北海道の南西部、二海郡八雲町の静かな山間に位置する上の湯温泉は、古くから地元の人々に親しまれてきた歴史ある温泉地です。落部川の流れのそば、豊かな自然に抱かれるように湧き出る湯は、訪れる人々に安らぎの時間をもたらします。市街地から少し離れた場所にあり、まさに隠れ家のような雰囲気を持つ温泉地と言えるでしょう。

泉質の特徴

上の湯温泉で湧出する主な泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉など、複数の要素を含むものです。塩化物泉は入浴後も体の表面に塩分が付着しやすく、これによって湯冷めしにくい保温効果が高いとされています。また、炭酸水素塩泉は肌の表面を滑らかにする効果が期待できるため、「美肌の湯」としても知られることがあります。これらの泉質がもたらす効果により、体の芯からしっかりと温まり、肌もつるつるになるような心地よい湯浴みを体験できます。

個性豊かな二軒の宿

この上の湯温泉には、「温泉旅館銀婚湯」と「パシフィック温泉ホテル 清龍園」という、それぞれ異なる魅力を持つ二軒の宿泊施設があります。どちらの施設も、宿泊客以外にも日帰りでの入浴を受け付けているため、旅行の途中で気軽に立ち寄って温泉を楽しむことも可能です。

温泉旅館銀婚湯

「日本秘湯を守る会」の会員宿としても知られる温泉旅館銀婚湯は、源泉を五つも所有する豊富な湯量が自慢の宿です。館内には男女別の内湯と、自然の風景を楽しみながら浸かれる露天風呂が備わっています。特に特徴的なのは、広大な敷地の様々な場所に点在する五つの貸切野天風呂です。これらの露天風呂は、まさに自然の中に溶け込むような造りとなっており、澄んだ空気の中で自分たちだけの贅沢な時間を過ごせます。ただし、貸切野天風呂は宿泊者専用のサービスとなっています。温泉の供給方式は、一部加水しながらも源泉掛け流しを採用しており、常に新鮮な温泉を楽しめるよう配慮されています。

パシフィック温泉ホテル 清龍園

パシフィック温泉ホテル 清龍園は、男女別の内湯と露天風呂を備え、さらにサウナも完備している施設です。こちらの源泉は温度が非常に高く、湧出時は98℃にも達するため、そのままでは入浴できません。そのため、適温に調整するために加水を行い、源泉掛け流し方式で温泉を提供しています。清龍園と同じ経営者が運営する近くの民宿に宿泊した場合でも、清龍園の温泉施設を利用できるため、宿泊の選択肢が広がります。

温泉の歴史

上の湯温泉の源泉は、古くから落部川の中州で自然に湧き出ており、その存在は古文書にも記されるほど歴史が古いです。特に、日本の歴史における大きな出来事の一つである箱館戦争（戊辰戦争の一部）の際、旧幕府軍がこの地の温泉を利用したという記録が残されています。温泉旅館銀婚湯が開業したのは、大正14年（1925年）5月10日のことです。この日は、当時の天皇陛下である大正天皇の「銀婚式」という記念すべき日にあたっていました。宿の名前「銀婚湯」は、この出来事にちなんで名付けられたと伝えられています。この命名のエピソードは、宿の歴史と共に語り継がれています。

アクセス情報

上の湯温泉へ車でアクセスする場合、国道5号線沿いの落部郵便局がある交差点を起点とします。そこから山側へ向かい、北海道道67号八雲厚沢部線を約10キロメートルほど進むと温泉地が見えてきます。公共交通機関を利用する場合、JR北海道函館本線の八雲駅からは車でおよそ40分の距離にあります。また、函館市街地から車で向かう場合でも、所要時間は約1時間半と比較的アクセスしやすい場所にあります。山間部に位置するため、事前のルート確認をおすすめします。

静かな自然の中で歴史を感じながら湯に浸かる上の湯温泉は、日々の疲れを癒し、心身をリフレッシュするのに最適な場所です。

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