上本町 (鹿児島市)

鹿児島市上本町の歴史と文化

鹿児島市上本町は、鹿児島市の中央部に位置し、1967年に恵美須町、車町など複数の町の一部を統合して誕生しました。この記事では、上本町の地理的特徴、歴史的背景、そして前身となった恵美須町と車町について詳しく解説します。

上本町の概要

上本町は、鹿児島市の中心部に位置し、住宅地と商業地が混在しています。2020年4月1日現在の人口は1,162人、世帯数は680世帯です。町の北側には大竜町、下竜尾町、南側には小川町、浜町、東側には柳町、西側には長田町が隣接しています。町域の南端には鹿児島本線が走り、鹿児島駅が近くにあります。

地理

上本町は、稲荷川の下流域に位置しています。町の北端には国道10号線が東西に走り、中央には県道25号線が南北に通っています。交通の便が良く、市内へのアクセスも容易です。

町名の由来

上本町の町名は、中世に島津氏の居城であった内城（現在の鹿児島市立大龍小学校の位置）の城下町、「上町」の発祥の地であることに由来します。この地域が、城下町における上町エリアの起源であったことが、町名のルーツとなっています。

歴史

前史：城下町の成立から江戸時代まで

上本町の歴史は、中世の城下町に遡ります。特に恵美須町は、この地域で最初に成立した町とされ、「上町」の始まりの町とも呼ばれていました。1341年に清水城、1550年に内城が築城され、恵美須町はその城下町の中心として発展しました。恵美須町は「戎町」や「夷町」とも記され、港町として漁民が多く住み、魚市場や関連施設が置かれ活気がありました。

恵美須町の発展後、城下町がさらに拡大し、恵美須町を囲うように車町が形成されました。車町は「廓町」とも呼ばれ、上町の町会所や火見櫓が置かれました。江戸時代に入ると、島津氏の居城が鹿児島城に移り、恵美須町の魚市場も中町に移転し、徐々に衰退しました。

明治時代から住居表示実施まで

明治時代に入ると、恵美須町と車町は町人街として栄え、車町には小学校や戸長役場が置かれました。1889年、市制施行により、鹿児島市が誕生し、恵美須町、車町もその一部となりました。1935年には、恵美須町から鹿児島駅までの街路改良事業が行われました。

第二次世界大戦中の1945年、鹿児島大空襲によって、この地域は大きな被害を受けました。鹿児島駅周辺への爆撃により、車町、恵美須町、和泉屋町に加え、近隣の柳町も甚大な被害を受け、多くの犠牲者が出ました。

住居表示実施と上本町の設置以降

1962年に住居表示に関する法律が施行されたことを受け、1967年、上町地区で住居表示が実施されました。これにより、恵美須町の全域、和泉屋町、車町、下竜尾町、長田町の一部が統合され、新たに「上本町」が設置されました。これにより、恵美須町、車町、和泉屋町は廃止されました。

上本町の施設

公共施設

上本町公民館
上本町公園
恵美須公園

寺社

金毘羅教秋葉神社
樹心寺

教育

上本町は、鹿児島市立の小学校と中学校の学区に指定されています。

交通

道路

国道10号
鹿児島県道25号鹿児島蒲生線

鉄道

町域の南端を鹿児島本線が通り、近隣には鹿児島駅があります。

著名な出身者

フランキー堺（コメディアン、俳優）：車町出身。数々の賞を受賞し、紫綬褒章も受章しました。

まとめ

上本町は、鹿児島市の歴史と文化が息づく地域です。中世の城下町から現代に至るまで、その変遷は町の景観や文化に深く刻まれています。この記事を通じて、上本町の魅力をより深く理解していただければ幸いです。

参考資料

鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』
南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』
「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』
山下悟「373ワイド 鹿児島市の消えた13町を訪ねなさい 地域の歴史今も刻む」『南日本新聞』
* 「港町を歩く 4 消えた「始まり」の町名」『南日本新聞』

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