上村彦之丞

上村彦之丞：日本の海軍を支えた武士

上村彦之丞（1849年6月20日 - 1916年8月8日）は、鹿児島出身の日本の武士および海軍軍人であり、最終的には海軍大将に昇進し、従二位勲一等功一級男爵の称号を持つ人物です。その浸透ぶりを考慮すると、彼は『船乗り将軍』と称される存在となりました。

初期の生涯と経歴

上村は薩摩藩の漢学師範である上村藤一郎の長男として鹿児島で生まれました。彼は若い頃から薩摩藩士として厳しい教育を受け、海軍兵学校に通いますが、在学中には多くの困難に遭遇しました。特に、成績は芳しくなく、後に海兵2期から4期へと移行することになった試験では最下位という不名誉な結果を残しました。それでも、上村は雲揚艦に配属され、再度教育を受けることで少尉試験に合格します。

彼の海軍での成長は徐々に見られ、次第に教育面でも重要なポジションを担うようになります。海軍教育本部長や軍務局長に就任するなど、軍政の発展にも寄与しました。特に、兵学校の30期生の遠洋航海指揮は、日本における初の司令官指導のもと行われるものでした。

戦争での活躍

日清戦争では、防護巡洋艦「秋津洲」の艦長として軍に出征し、豊島沖海戦では砲艦「操江」を降伏させる快挙を成し遂げました。これは、日本海軍が敵艦を降伏させた初の例とされています。続いて、日露戦争では第二艦隊司令長官として蔚山沖海戦に出撃し、ウラジオストク艦隊を撃破します。加えて、日本海海戦でも戦局を有利に進める要因となりました。

戦後は横須賀鎮守府司令長官や第一艦隊司令長官を歴任し、海軍大将として退役しました。元帥の地位が期待されながらも、実現することはありませんでしたが、彼の性格や軍績がその要因であったと言われています。

日露戦争の重要事件

日露戦争では、特に常陸丸事件が注目されます。上村は補給航路防衛に従事していましたが、濃霧や敵艦隊の巧妙な攻撃に苦しむ状況が続き、彼は責任を問われます。しかし、この事件は後に彼の栄光と対照的な側面として記憶されることになります。彼の妻は、毎日寺参りをし、敵艦隊の発見を祈っていました。

蔚山沖海戦

蔚山沖海戦では、敵艦を撃破寸前まで追い詰めるも、弾薬が尽きてしまいます。この時の彼の態度や部下への配慮は、海軍士気を高める要因となりました。その後、敵軍艦の乗員に対して行った人道的配慮も称賛され、軍歌『上村将軍』として歌われるまでに至ります。

人物像と交流

上村は感情が激しく、短気で酒豪であると評されることもありましたが、情に厚い性格であり、部下思いの一面も持ち合わせていました。彼は日清戦争中に殴り合いをした相手を後にイギリス留学させるなど、人間関係を大事にしていました。

また、東京都目黒区の「上村坂」は、彼の歴史との関連を示す地名として存在しています。彼の家族環境にも注目が集まり、養嗣子には上村従義がいるなど、脈々とした家系が作られています。

最後の時

1916年、上村は悲しくもその生涯を終えます。しかし、彼の数々の功績や人格は、彼を讃える多くの人々の記憶に留まることでしょう。彼の年譜や受賞内容は、後の世代において海軍の偉大なリーダーの一人としてしっかりと記録されています。

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