上毛電気鉄道700型電車

上毛電気鉄道700型電車は、上毛電気鉄道上毛線で活躍する通勤形電車です。2両編成8本が在籍し、上毛線初の冷房車・カルダン駆動車として、1998年から2000年にかけて京王電鉄3000系電車を譲り受け、改造の上で導入されました。

導入の経緯

それまで上毛線では、東武鉄道から譲渡された300型・350型を使用していましたが、これらの車両は吊り掛け駆動方式であり、保守に手間がかかる上、老朽化が著しく、冷房も搭載されていませんでした。そこで、これらの車両を置き換えるため、京王3000系が導入されることになりました。導入にあたっては、地元自治体からの補助金を受けています。

概要

700型は、制御電動車デハ710型と制御車クハ720型（西桐生寄り）の2両編成で、711Fから718Fまでの8編成が存在します。種車である京王3000系は、先頭車が不足していたため、中間車を先頭車化改造したり、先頭車を電装解除したりするなどの改造が京王重機整備で施工されました。

編成ごとの特徴

711F - 714F・718F：京王時代のクハ3700・3750形を種車とし、クハ3750形を電装化。分散式冷房装置を搭載。デハ710型は、連結面側の冷房装置1基を撤去し、パンタグラフを設置。制御装置は京王6000系の廃車発生品を使用。デハ712は、種車が事故復旧車体のクハ3758のため、700型で唯一の軽量構造車体であり、コルゲートの本数が他車より少ない。
715F - 717F：京王時代のデハ3000・3050・3100形を種車とし、各形式1両を電装解除。オリジナルに近い形状の運転台を新設。正面上部はFRP製ですが、正面下部が普通鋼製である点と、正面窓下に通風口がない点がオリジナルと異なる。集中式冷房装置を搭載。

共通の改造

マスター・コントローラーは、京王5000系や都営地下鉄の廃車発生品を流用（日立製作所製）。
尾灯と通過標識灯の配置を入れ替え（京王時代は前面窓上左右の2灯が尾灯、上毛では前面窓下左右の2灯が尾灯）。
ワンマン運転を実施するため、運転台後部の座席を撤去し、運賃箱を設置。また運転席右側にミラーを設置。
放送機器をバス用のものに交換。
前扉の前寄り戸袋窓に編成番号（711Fなら1、以下8まで）のシールを貼付。

本系列の導入と相前後して、東急7000系由来の東急車輛製造TS-701形パイオニア台車を複数譲受しており、こちらは車両基地である大胡車庫での仮台車として用いられています。

導入後の変遷

導入後は300型・350型を置き換え、上毛電鉄の主力車両となりました。当初は前面上半分の塗色が薄青緑色でしたが、2005年11月から2009年2月にかけて711Fを除く各編成の正面上半分の配色が変更され、全編成それぞれが色違いとなりました。このことから種車同様に「レインボーカラー」とも呼ばれています。なお、この経緯から京王時代より1色多い8色となっており、使用色は京王時代と異なります。また、車体側面の帯は登場以来フィヨルドグリーンと赤の2色のままです。

前面窓下にある行先表示器は、導入当時は車掌乗務のツーマン運転だったため縦書きゴシック体表記でしたが、ワンマン運転開始に伴い、種車のものと類似した緑地に白抜きの ワンマン 表示を上部に添えた横書きの配列に変更されました。

配色変更とともに、空気圧縮機を従来のC-1000形からより容量の大きいHB-2000CA形へ換装。これは容量を大きくして、空気圧縮機の焼き付けを防止するとともに、保守容易化・機器更新を目的としています。また、車輪も軽量化などのために波打ち車輪に交換された編成もあります。

714Fは「はしる水族館」として、車内外に海産動物のイラストシールが貼付され、車内には水色のカッティングシールが貼付されています。
712Fは2015年4月から、みどり市に本社を置くスナガの広告ラッピング車となっています。
713Fは2020年4月 - 6月の「群馬デスティネーションキャンペーン」に合わせ、同年4月1日から「ぐんまちゃん列車」として運行されました。

今後の予定

2024年2月から東京メトロ03系を改造した800形を導入し、置き換えられる編成が出る予定です。一方で、部品を活用することにより残る5編成の延命が図られる見込みです。

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