上郡

上郡（じょうぐん）は、中国にかつて存在した郡であり、戦国時代から隋代にかけて、現在の陝西省に設置されていました。

先秦時代

上郡の歴史は戦国時代、魏文侯の時代（紀元前446年 - 紀元前396年）に遡ります。この時代に設置された上郡は、紀元前328年に魏から秦へと献上され、以後は秦国の版図に組み込まれることとなりました。

秦漢時代

紀元前221年、秦が中国を統一し、全国に36郡を設置した際、上郡もその一つとして設けられました。郡の行政中心地（県治）は膚施県（現在の楡林市南部）に置かれました。

しかし、秦の滅亡後、紀元前206年に項羽が関中を三分割した際、降伏した秦の将軍である董翳を上郡において翟王に封じたことで、一時的に上郡は消滅しました。しかし、翌年には翟王が劉邦に降伏したため、再び上郡が設置され、并州の管轄下となりました。

新朝が成立すると、上郡は増山郡と改称されましたが、後漢の時代になると間もなく上郡という名称に戻されました。この頃から、羌族の侵入が頻繁になり、111年（永初5年）には郡治が夏陽県へ、184年（中平元年）には洛陽県へと遷され、僑治（きょうち：避難民のための仮の行政区画）となりました。213年（建安18年）には、上郡は冀州に編入されますが、漢朝の実効支配権は既に失われており、215年（建安20年）には上郡は廃止されるに至りました。

このように、上郡は戦国時代から後漢末期にかけて、その所属や名称、行政の中心地を変動させながら、中国の歴史の舞台で重要な役割を果たした地域でした。

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