紀元前396年

紀元前396年：世界を揺るがした出来事の数々

紀元前396年は、古代世界において数々の重要な出来事が発生した年として歴史に刻まれています。ローマ、ギリシア、ペルシア、カルタゴ、そして中国など、世界各地で政治、軍事、文化、スポーツといった様々な分野に大きな変化がもたらされました。

ローマの台頭：ウェイイ陥落

共和政ローマにおいては、マルクス・フリウス・カミルスが独裁官に就任。長きにわたる攻城戦の末、エトルリア都市ウェイイを陥落させました。このウェイイの陥落は、ローマにとって大きな転換点となりました。ローマの領土は倍増し、軍事力と政治的影響力を飛躍的に向上させ、後のローマ帝国の基礎を築く重要な一歩となりました。また、この勝利を記念して、ローマ軍に給与が支払われるようになったことも特筆すべき点です。

ギリシア：スパルタの遠征とペルシアとの対立

ギリシアでは、スパルタ王アゲシラオス2世が小アジアに遠征。ペルシア帝国のサトラップであるファルナバゾスやティッサフェルネス率いる軍勢と激戦を繰り広げました。アゲシラオス2世は、サルディスでティッサフェルネスに大打撃を与え、リュディアとカリアを支配下に置くティッサフェルネスと3ヶ月の停戦協定を結びました。しかし、停戦交渉は決裂。アゲシラオス2世は、ティッサフェルネスの裏をかいてフリギアを襲撃し、莫大な戦利品を獲得しました。この遠征は、スパルタの軍事力を示すものとなりましたが、同時にペルシアとの緊張を高める結果にもなりました。

カルタゴ：シチリア島での敗北

カルタゴは、シュラクサイへの長年の攻城戦から撤退を余儀なくされました。シュラクサイの僭主ディオニュシオス1世は、カルタゴ軍を撃破し、カルタゴの勢力をシチリア島北西部の一角に制限しました。カルタゴの将軍ヒミルコは、敗戦の責任を負い、自害しました。このシチリア島における敗北は、カルタゴの勢力拡大に大きなブレーキをかけることとなります。

ペルシア：地中海における覇権争い

ペルシア帝国は、フェニキア、キリキア、キュプロスの連合艦隊を編成し、経験豊富なアテナイの提督コノンを指揮官に任命しました。この連合艦隊は、ロドス島を占領。地中海におけるペルシアの勢力拡大を図りましたが、スパルタとの対立が激化する中、その覇権維持は容易ではありませんでした。

中国：鄭国の内乱

中国では、鄭で内乱が発生。駟子陽の残党が繻公を暗殺し、その弟の康公を擁立しました。この事件は、鄭国の政治的不安定さを示す出来事でした。

文化とスポーツ：新たな時代への幕開け

哲学では、プラトンが師であるソクラテスの弁明を発表しました。また、スポーツの世界では、キュニスカが女性として初めて古代オリンピックで優勝。戦車競走で優勝したことで、女性も競技に参加できるという新たな時代への幕開けを象徴する出来事となりました。

重要な人物

この年には、アテナイの政治家リュクルゴスや、ギリシアの哲学者クセノクラテスが誕生しました。一方、カルタゴの将軍ヒミルコは、この年に死去しました。

紀元前396年は、ローマの台頭、ギリシアとペルシアの対立、カルタゴの敗北など、古代世界の勢力図を大きく変えた年でした。これらの出来事は、後の歴史に大きな影響を与え、世界史における重要な転換期として位置づけられています。

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