上野真

上野 真

上野 真（うえの まこと、1966年 - ）は、日本のクラシック音楽界を牽引するピアニストの一人。

略歴

1966年、北海道に生を受ける。幼少期から音楽に親しみ、才能を開花させた。1982年、若くして単身アメリカ合衆国へ渡り、フィラデルフィアの名門カーティス音楽院に入学。同音楽院では、高名なピアニストであるゲイリー・グラフマン氏、ホルヘ・ボレット氏に師事し、ピアノ演奏の基礎と芸術性を深く追求した。さらに、ミエチスラフ・ホルショフスキ氏、レオン・フライシャー氏、ロザリン・テューレック氏、フェリックス・ガリミール氏といった20世紀の巨匠たちからも直接レッスンや貴重なアドバイスを受け、その音楽観と技術を磨いた。1987年にカーティス音楽院を修了。

音楽の研鑽をさらに深めるため、1987年にはヨーロッパに渡る。オーストリアのザルツブルク・モーツァルテウム大学ではハンス・ライグラフ氏に師事し、モーツァルトを中心としたウィーン古典派の解釈に造詣を深めた。また、チェコではラドスラフ・クヴァピル氏のもとで学び、幅広いレパートリーへの理解を広げた。

海外での学びを終え帰国後、1992年から日本国内での本格的な演奏活動を開始。ソロリサイタルやオーケストラとの共演など、精力的にコンサートに出演し、その卓越した技術と豊かな音楽性で聴衆を魅了した。

教育活動にも熱心で、1996年には京都市立芸術大学の専任講師に着任。若手音楽家の育成に尽力し、その後、2007年には准教授、2016年からは教授として、多くの後進ピアニストの指導にあたっている。また、名古屋音楽大学の客員教授も務めるなど、日本の音楽教育に多大な貢献をしている。国内外で開催される著名なピアノコンクールでは審査員としても招聘され、国際的な視点から才能を見出している。

受賞歴

国際的な舞台での活躍は、数多くの受賞歴によっても証明されている。主なものとして、

1985年：メリーランド州カレッジパーク/ワシントンD.C.で開催されたメリーランド大学国際ピアノコンクールで第3位に入賞。
1986年：ブリュッセルで行われたベーゼンドルファー・エンパイア国際コンクールにて、アレックス・ド・ヴリーズ賞およびEMS賞を受賞。
1988年：スイスのジュネーヴ国際音楽コンクールピアノ部門で第3位同着の成績を収めた。
2002年：フランスのオルレアン国際20世紀ピアノ音楽コンクールで入賞（第3位相当）。モーリス・オアナ賞、ナディア&リリー・ブーランジェ賞、リカルド・ヴィニェス賞を同時に受賞し、特に近現代音楽における解釈力が高く評価された。
2005年：京都にて青山音楽賞バロックザール賞を受賞。
2005年：京都市芸術新人賞を受賞。
2005年：モスクワで開催されたリヒテル国際ピアノコンクールで第2位同着となった。

これらの受賞は、上野氏が若手時代から国際的に注目される存在であり、そのキャリアを通じて高い評価を維持していることを示している。

演奏活動

演奏活動は日本国内にとどまらず、世界各地に及んでいる。これまで、アメリカ合衆国、メキシコ、イギリス、ノルウェー、ロシア、ラトビア、ポーランド、チェコ、スイス、オーストリア、ドイツ、フランス、ベルギー、トルコ、韓国、タイなど、アジア、ヨーロッパ、北米の多くの国々で演奏を披露し、国際的なピアニストとしての地位を確立している。

ディスコグラフィー

録音活動も積極的に行っており、その成果はオクタヴィア・レコードやNAXOSといった主要レーベルからCDとしてリリースされている。

個人アルバム:
デビューアルバムは、フランツ・リストの1851年完成第三稿による超絶技巧練習曲全曲録音（2003年録音、2004年リリース）であり、その技術的な完成度の高さで話題を呼んだ。
その他、クロード・ドビュッシー、バルトーク・ベーラ、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ムツィオ・クレメンティ、フレデリック・ショパンなど、古典から近現代に至るまで幅広い時代の著名な作曲家の主要作品を多数録音している。

アンサンブルアルバム:
フルート奏者のエミリー・バイノン氏とはフランス作品集（2004年録音、2005年リリース）を録音。
* フルート奏者の瀬尾和紀氏とは、イグナーツ・モシェレス作品集（2013年録音、2014年リリース）、カール・チェルニー作品集（2014年録音、2015年リリース）、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作品集 第2集（2016年録音、2018年リリース）、カール・マリア・フォン・ウェーバー作品集（2017年録音、2019年リリース）など、意欲的なアルバム制作を続けている。これらの録音は、上野氏のソロ活動に加え、室内楽奏者としての優れたバランス感覚と協調性を示している。

上野真氏は、演奏家、教育者として多角的にクラシック音楽界に貢献し続けている。

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