上野製薬

上野製薬株式会社

上野製薬株式会社（うえのせいやく、英文表記：UENO FINE CHEMICALS INDUSTRY.LTD.）は、大阪府大阪市中央区高麗橋に本社を構える、化学工業品の製造を主たる事業とする企業です。特に化学薬品や食品添加物の分野で存在感を示しています。

会社概要と技術基盤

同社は、食品の保存技術を強みとしており、その歴史は深く、技術的な源流には2代目社長である上野隆三氏の貢献があります。同氏はコルベ・シュミット反応のメカニズムを詳細に解明し、パラヒドロキシ安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸を工業的に生産する技術を確立しました。この成功が、その後の多様な化学薬品製造事業へと発展する重要な契機となりました。

現在製造される製品は多岐にわたりますが、近年は液晶ポリマーや有機顔料といった先端材料の比重が高まっています。特に液晶ポリエステル樹脂の分野では、世界市場において高いシェアを占めており、その技術力と製品は広く認められています。

かつては医薬品分野にも携わり、眼科用医薬品であるレスキュラ点眼液などを製造していましたが、2001年にこの医薬品事業部門をアールテック・ウエノへ譲渡しました。アールテック・ウエノは、レスキュラ点眼液の開発者であり、2代目社長・上野隆三氏のご子息である上野隆司氏が創業した企業です。現在、上野製薬は医薬品の取り扱いは行っておりません。

創業者の上野政次郎氏および2代目社長の上野隆三氏は、その功績が認められ、紫綬褒章や勲四等瑞宝章を受章しています。

主な製品と事業領域

上野製薬は、大きく分けて化学薬品と食品・食品添加物の分野で事業を展開しています。

化学薬品

パラオキシ安息香酸エステル
パラヒドロキシ安息香酸
アニス酸
β-ナフトール
液晶ポリマー
有機顔料

食品、食品添加物

保存料（ソルビン酸、白子蛋白など）
脱酸素剤、アルコール揮散剤
糖アルコール
調味料
pH調整剤
洗浄除菌剤
微生物検査関連製品

これらの製品は、食品産業はもちろん、医薬品、化粧品、電子材料、自動車など、幅広い産業分野で使用されています。

沿革

同社の主な歩みは以下の通りです。

1918年：創業者・上野政次郎氏により上野商店が創業される。
1930年：醤油の防カビに関する研究が開始される。
1945年：上野製薬工業株式会社に組織変更。
1955年：上野製薬株式会社に社名変更。
1967年：上野隆三氏が社長に就任。
2001年：医薬品部門をアールテック・ウエノへ営業譲渡。
2003年：上野昌也氏が社長に就任。

事業拠点

国内に本社、支店、営業所、工場、研究施設を有し、海外にも現地法人を展開しています。

本社：大阪府大阪市中央区
国内拠点：東京支店、札幌営業所、福岡営業所、稚内工場、四日市工場、伊丹工場、R&Dセンター・三田工場、つくば分析センター
* 海外拠点：タイ、アメリカ

関連情報

過去には、安全性の問題から製造中止となった食品添加物であるフリルフラマイドなども製造していました。また、プロタミンや脱酸素剤「エージレス」に関連する事業も手掛けています。

上野製薬は、創業以来培ってきた化学技術と独自の視点から生み出される製品を通じて、社会の発展に貢献し続けています。

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