下野国分寺跡

下野国分寺跡と下野国分尼寺跡

下野国分寺跡は、栃木県下野市に位置する古代の寺院跡であり、国の史跡に指定されています。この地は、奈良時代に聖武天皇の命により全国に建立された国分寺の一つ、下野国分寺の跡地です。現在は整備され、史跡公園として一般に公開されています。本稿では、同じく国の史跡である下野国分尼寺跡についても詳しく解説します。

概要

下野国分寺跡は、下野市西部の姿川と、思川に挟まれた台地上に位置しています。思川の対岸には下野国庁跡も存在しており、一帯は古代から下毛野氏の本拠地として栄えていました。この地域には、栃木県内最大級の前方後円墳である吾妻古墳、琵琶塚古墳、摩利支天塚古墳が残されており、古代からの先進地域であったことが伺えます。

国分寺跡と国分尼寺跡は、約600メートルの距離で東西に並んで発見され、現在は下野市天平の丘公園として整備されています。この公園内には、日本三大桜として知られる神代桜、淡墨桜、三春滝桜の子孫樹や、多種多様な八重桜が植えられており、春の開花時期には多くの花見客で賑わいます。また、史跡周辺はコナラやクヌギ、ケヤキなどが生い茂る北関東特有の平地林となっており、栃木県により国分寺緑地環境保全地域に指定されています。

下野国分寺跡

寺域は南北457メートル、東西413メートルに及び、伽藍は奈良の東大寺と同様の東大寺式伽藍配置を採用しています。具体的には、南大門、中門、金堂、講堂が南北に一直線に並び、中門と金堂は回廊で接続されています。塔は回廊の東側に位置し、その基壇の大きさから七重塔であったと推測されています。また、金堂と講堂の間には、鐘楼と経蔵が東西に配置されていました。

発掘調査の結果、下野国分寺跡は1期から5期に分けられます。

1期（8世紀中葉）：創建期であり、塔や金堂などが建設されました。
2期（8世紀後半から9世紀前半）：主要な堂塔が完成し、伽藍地は掘立柱塀で囲まれました。
3期（9世紀後半）：改修期であり、伽藍地は縮小され、掘立柱塀は築地塀に建て替えられました。
4期（10世紀以降）：衰退期に入り、主要な堂塔の補修や溝の掘り直しが行われなくなりました。

寺院の終焉は明確ではありませんが、発掘調査の結果から11世紀から12世紀頃まで法灯が伝えられていたと考えられています。

各伽藍の詳細は以下の通りです。

金堂：基壇は南北21メートル、東西33.6メートル。建物は南北13.8メートル（4間）、東西25.8メートル（7間）。
講堂：基壇は南北16.2メートル、東西24.6メートル。建物は南北12.6メートル（4間）、東西21メートル（7間）。
僧房：詳細な規模は不明。
鐘楼：基壇は南北12メートル、東西9メートル。建物は南北9メートル（3間）、東西6メートル（2間）。
経蔵：基壇は南北12メートル、東西9メートル。建物は南北9メートル（3間）、東西6メートル（2間）。
中門：基壇は南北10.2メートル、東西22.8メートル。建物は南北2間、東西5間。
塔：基壇は南北、東西ともに18メートル。建物は南北、東西ともに3間。高さは60メートルを超える七重塔であったと推定されています。風土記の丘資料館には復元予想模型が展示されています。
南大門：詳細な規模は不明。

下野国分尼寺跡

下野国分尼寺跡は、国分寺跡の東方約600メートルの場所に位置しています。寺域は南北約270メートル、東西約145メートルで、東側には南北約211メートル、東西約52メートルの張り出し部分があります。伽藍配置は国分寺と同様に東大寺式ですが、塔は建てられませんでした。

文化財

下野国分寺跡と下野国分尼寺跡は、国の史跡として指定されています。

下野国分寺跡：大正10年3月3日に指定され、平成17年3月2日と平成27年3月10日に史跡範囲が追加指定されました。
下野国分尼寺跡：昭和40年4月9日に指定され、昭和52年7月28日に史跡範囲が追加指定されました。

現地情報

所在地：
国分寺跡：栃木県下野市国分寺（北緯36度23分06.21秒、東経139度48分21.95秒）
国分尼寺跡：栃木県下野市国分寺（北緯36度23分06.98秒、東経139度48分44.73秒）

関連施設：
栃木県立しもつけ風土記の丘資料館
入館料：一般100円、高校生・大学生50円
開館時間：午前9時〜午後5時（入館は午後4時30分まで）
休館日：月曜日（祝日・県民の日は開館）、祝日の翌日（土・日は開館）、年末年始

交通アクセス：
鉄道：JR宇都宮線（東北本線）小金井駅から約3.5km
駅前にレンタサイクルあり

周辺情報

下野国分寺：下野国分寺跡の後継寺院（北緯36度23分26.56秒、東経139度48分53.48秒）
国分古墳群：甲塚古墳、山王塚古墳、愛宕神社古墳、丸塚古墳など
下野国庁跡：（北緯36度22分47.71秒、東経139度47分06.64秒）

脚注

公園内説明板、参考文献『日本歴史地名大系 栃木県の地名』（平凡社）下都賀郡国分寺町 下野国分寺跡・下野国分尼寺跡項、外部リンク（下野市ホームページ、文化庁の国指定文化財等データベース、とちぎの文化財、しもつけ市の文化財）を参照。

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