世界四大文明

世界四大文明とは

世界四大文明とは、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、中国文明の4つを指す歴史観・文明観の一つです。主に日本や中国で使用される表現であり、国際的には「文明のゆりかご」という言葉が用いられます。しかし、「文明」自体の定義が研究者によって異なるため、文明の数を特定することは困難です。

特徴

四大河文明: いずれの文明も大河のほとりで誕生したため、四大河文明と呼ばれることもあります。
成立時期: 紀元前3000年から紀元前2000年頃に成立しました。
学術的な曖昧さ: 「世界四大文明」という言葉は、学術的な提唱者が不明であり、国際的にも通用しない、通俗的な用語です。

起源

「四大文明」という考え方の起源は明確にはなっていません。

江上波夫説: 日本の考古学者、江上波夫が提唱者であるという説があります。杉山正明の述懐によれば、江上自身が「四大文明」は自分の造語だと主張したとされています。また、村井淳志の調査によれば、「四大文明」という語句の初出は、江上が携わった1952年発行の山川出版社の教科書『再訂世界史』であるとされています。
梁啓超説: 中国清朝末期の知識人、梁啓超に由来するという説もあります。梁啓超が1900年に作った詩『( 二十世紀太平洋歌』の中に、「地球上の古文明の祖国に四つがあり、中国・インド・エジプト・小アジアである」という記述があります。ただし、20世紀初頭の中国人知識人たちの文明観は、福澤諭吉ら日本人の文明観の影響を受けていました。
水力社会論: カール・ウィットフォーゲルが提唱した水力社会論も、文明と大河の関係性に着目した文明論として関連があります。

受容

21世紀に入り、中国の習近平が「四大文明の中で中華文明だけが中断なく続いている」と主張し、ドナルド・トランプを紫禁城に案内した際にも同様の主張を行ったことが注目を集めました。

中国政府は、「古代文明国フォーラム」をギリシャとともに主催し、シルクロードの復活や中華民族の偉大なる復興を掲げて、歴史を利用した外交を展開しています。このフォーラムには、メソポタミア文明があったイラク、エジプト文明があったエジプト、インダス文明があったインドなども参加しています。

北朝鮮は「大同江文化」を加えて独自に「世界五大文明」であるとしています。

関連情報

文明のゆりかご
世界の八つの文明圏
古代中国の四大発明
世界5大文明

参考文献

石川禎浩「中国近現代における文明史観の受容と展開 : 兼ねて「四大文明」説の由来を論ず」『史林』第102巻第1号
川尻文彦「近代中国における「文明」――明治日本の学術と梁啓超」『東アジア近代における概念と知の再編成』第35巻
* NHKスペシャル「四大文明」プロジェクト関連書籍

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