中全音律

中全音律について

中全音律（ちゅうぜんおんりつ）とは、音楽理論における音律の一つで、主に鍵盤楽器に使用されてきた調律法です。特に15世紀から19世紀にかけて広く用いられており、様々な和音の調和を重視した特徴を持っています。この音律は、三度の音程を純正に保つために、完全五度の音程をわずかに狭めたものです。

音程の仕組み

中全音律では、音程が例えば大全音（9/8）と小全音（10/9）の間に収まるように設定されています。これにより三度音程の精度が向上し、より豊かな和声が得られるのです。特に「1/4コンマ中全音律」と呼ばれる形式がよく知られています。これはピタゴラス音律から完全五度を1/4シントニックコンマ狭くすることで三度音程を整えています。

1/4コンマ中全音律の仕組み

1/4コンマ中全音律は、純正な完全五度を基準に調整が施されています。この調律法では、長三度が3/2ではなく、1/4コンマ狭くした状態で得られるので、特定の音程を理論的に簡潔に表すことが可能です。ここで言う「シントニックコンマ」とは音程の微妙なずれを示し、約21.506セントに相当します。

そのため、長三度が得られるプロセスは、特定の計算式に基づいて行われます。例えば、D4からD5、D6までを含む音程を完全五度の重ね合わせとして表現できます。この音律の特徴的な点は、三度が非常にクリアであり、和音に関しても非常にグラデーションが広がる点です。

ウルフの五度とその影響

ただし、この音律も欠点を抱えています。調和のなかで特に問題視されるのが「ウルフの五度」と呼ばれるもので、この音程の不協和音は、実際の演奏において逆に響くことがあるため、注意が必要です。このウルフの五度は、特定の音から音の重なりによって生じるため、特定の調は演奏に難しいとされています。これにより、楽器の調律法が多様化していく背景も見られます。

調律法の具体例

1/4コンマ中全音律による調律は、C音を基準として行われます。CとEの間に設定される音を基にし、そこからG、D、Aの音を整えます。音叉やメトロノームを使用して定められ、最終的にすべての音を調整します。
こうした調整から、最終的に確立された音階が美しいハーモニーを生み出し、特にバロック時代の音楽に深く関わっています。

まとめ

中全音律は、音楽理論における重要な側面であり、特に鍵盤楽器において多様な和音の実現に寄与してきました。歴史的背景や音程に関する詳細な理解が求められますが、三度音程の純正度が保たれることで、より深みのある音楽が創造されるのです。

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