中原 (北九州市)

中原（なかばる）

福岡県北九州市戸畑区に位置する中原は、市街地の北東部に広がる地域です。町名としては中原東と中原西があり、日本製鉄八幡製鐵所などの埋立地は大字中原、北九州テクノパークは中原新町として知られています。

地理・概要

中原は、小倉北区と隣接しており、境川を挟んで小倉北区中井と接しています。この境川は、かつて筑前国と豊前国の境界であり、現在も戸畑区と小倉北区の境界として機能しています。

東西には国道199号、鹿児島本線、北九州高速2号線が並行して走り、交通の要となっています。地区の中央には、新日鐵住金の専用線であるくろがね線が南北に走り、この線路を境に中原西と中原東が分かれています。

中原地区の産土神である中原八幡宮は中原東3丁目に鎮座しており、戸畑祇園大山笠の中原大山笠の拠点となっています。また、地区内にある北九州市立中原中学校の生徒によって、戸畑祇園大山笠の小中山笠が運行されています。

歴史

中原は、かつて「千畳敷」と呼ばれる広大な草原が広がっていたことから、その名が付けられたとされています。この平原は「小沢見野」とも呼ばれ、珍しい植物が自生していました。海岸には松が植えられ、藍島や白島を望む景勝地でした。人々はここで農業や牛の放牧をして暮らしていました。

しかし、筑前側と豊前側の両方に「中原村」が存在し、境界が曖昧であったため、福岡藩と小倉藩の間で国境紛争が頻発しました。福岡藩と小倉藩の会談により、境川と古道が境界と定められましたが、その後もトラブルが絶えませんでした。

1889年（明治22年）に、筑前側の中原村は戸畑村と合併し、戸畑村の大字「中原」となりました。その後、戸畑町、戸畑市を経て、現在の北九州市戸畑区に至ります。一方、豊前側の中原村は企救郡中井村の一部となりました。

かつては松並木と白砂の海岸が広がっていましたが、1922年（大正11年）に開設された中原海水浴場も、昭和初期に八幡製鐵所の拡張に伴う埋め立てにより消滅しました。大正末期から昭和30年代にかけて区画整理が進められ、市街地が形成されました。

1985年（昭和60年）まで、西鉄北九州線が地区内を通っており、「中原」と「工大前」の電停がありました。現在はバス専用道路を経て一般道化されています。

主な施設

北九州テクノパーク
九州機械工業振興会
ゼンリンテクノセンター
北九州市立中原小学校
北九州市立中原市民センター
中原八幡宮

交通

JR九州 九州工大前駅
1990年（平成2年）までは新中原駅という駅名でした。

参考文献

角川日本地名大辞典編纂委員会 『角川日本地名大辞典 40 福岡県』 角川書店、1988年
有馬学監修 川添昭二編　『日本歴史地名大系 41 福岡県の地名』、平凡社、2004年
背川負太郎　『おもしろ地名北九州事典』、文理閣、1997年

関連項目

中原 (曖昧さ回避))
* 中原麻衣 - 当地が出身地であり、芸名の由来となった。

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