中原師守

中原師守 (なかはら の もろもり)

中原師守は南北朝時代に北朝に仕えた官人で、史料として重要な日記『師守記』の著者です。彼は、大外記である中原師右の子として生まれ、兄の中原師茂と共に名門 中原氏に育ちました。この家系は、10世紀の明経博士中原有象を祖とし、儒学を家学とする学者の名門です。中原氏は本流明経道と傍流明法道に分かれており、師守はそこから派生した師重の玄孫にあたります。

彼の生年は正確には不明ですが、兄である中原師茂の生年である正和元年（1312年）以降であると考えられています。彼は大炊頭を経て、建武政権の期間中、建武2年（1335年）には権少外記として任命されました。南北朝の内乱の際には北朝を支持し、建武4年（1337年）には雅楽頭を兼任し、暦応元年（1338年）には少外記に転任しました。この頃から彼の公式な記録は少なくなりますが、後に記録所寄人として知られるようになります。

さらには、『系図纂要』の中原系図によると、院上北面や助教、明経博士に登り正五位上に達したとされています。彼は公的な任務として、兄の師茂を補佐しながら、関連業務に従事しました。

師守の没年については不詳ですが、応安3年（1370年）には嫡子の中原師豊が「故主税頭師守男」として記されています。このことから、師守はこの時期までには亡くなっていたと推測されています。

彼の著作である『師守記』は、北朝の朝儀や公事に加え、南北朝時代の政治や軍事、さらには一般社会の出来事を広範囲にわたって記録しています。この日記は、同時代の歴史を理解するための重要な一次史料の一つとされており、2004年には重要文化財に指定されました。

また、彼の子孫は押小路家を名乗り、数代にわたり大外記を務めましたが、室町時代の末期には家系が途絶えてしまいます。しかし、中原氏の宗家も押小路家を名乗るようになりますが、これは異なる家系です。

彼の事績と影響は、南北朝時代の歴史において極めて重要であり、『師守記』を通じてその足跡を今に伝えています。学問の伝統を受け継いだ彼の家系は、当時の文化や政治における重要な役割を果たしました。

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