中国中車青島四方機車車輛

中国中車青島四方機車車輛股份有限公司（CRRC Qingdao Sifang Locomotive & Rolling Stock Co., Ltd.）

中国中車青島四方機車車輛股份有限公司は、中国山東省青島市に拠点を置く、鉄道車両の設計・製造を行う企業です。中国中車グループの中核企業の一つであり、その歴史は20世紀初頭に遡ります。

概要

青島四方機車車輛の前身は、1902年にドイツ総督府によって設立された四方機車車輛廠です。以来、100年以上にわたり、機関車、客車、電車など、多種多様な鉄道車両を開発・製造してきました。特に近年は、高速鉄道車両や地下鉄車両の分野で高い技術力を誇り、中国国内だけでなく、海外の鉄道プロジェクトにも積極的に参画しています。

同社は、旧鉄道部が定める鉄道インフラ近代化の重点協力企業の一つであり、山東省や青島市を代表する企業としても知られています。生産拠点は青島市内に複数あり、関連会社も多数抱え、鉄道車両の製造から修理、輸送設備まで、幅広い事業を展開しています。

沿革

- 1900年: 膠済鉄道四方工廠として起工。
- 1902年: 四方駅近くに工場が完成し、操業開始。
- 1903年: 膠済鉄道の機関車と車両の組立て・整備を担当。
- 1915年: 第一次世界大戦により日本が占領、山東鉄道青島工場と改称。
- 1923年: 中華民国に売却、交通部膠済鉄路管理局四方工廠となる。
- 1937年: 日中戦争勃発により、車両や設備を内陸部へ疎開。
- 1938年: 日本が再占領、華北交通の管理下に入る。
- 1945年: 日本の敗戦により、国民政府が接収。
- 1949年: 解放軍が青島を占領、四方鉄路工廠を接収。
- 1952年: 初の蒸気機関車「解放1型」を完成。
- 1954年: 鉄道部が同社を客車設計製造の主導工場に指定。
- 1959年: 初の液体式ディーゼル機関車「衛星号」を製作。
- 1984年: 東風5型電気式ディーゼル機関車の開発に成功。
- 1998年: ボンバルディアと提携し、合弁会社を設立。
- 2000年: 中国南方機車車輛工業集団公司(中国南車)の傘下となる。
- 2002年: 四方機車車輛股份有限公司と四方機車車輛有限責任公司に分割。
- 2004年: 川崎重工業より高速鉄道車両の技術供与を受ける。
- 2008年: 青島四方機車車輛股份有限公司に改称。
- 2015年: 中国中車の傘下となり、中車青島四方機車車輛に改称。

製品

同社は、高速鉄道車両、地下鉄車両、通勤・近郊車両、インターアーバン車両、ライトレール車両など、幅広い種類の鉄道車両を製造しています。

高速鉄道車両

川崎重工業との技術提携により、中国高速鉄道CRH2型電車、CRH380A型電車、CR400AF型電車などを開発・製造。年間生産能力は約1,600両で、中国国内のシェアは約40%を占めています。

地下鉄車両

北京オリンピック開催を機に、北京地下鉄のネットワーク更新・拡張に合わせて地下鉄市場に参入。北京地下鉄をはじめ、中国各地の都市で運行されています。

通勤・近郊車両

アルゼンチン国鉄向けに705両の電車を納入するなど、海外展開も積極的に行っています。

インターアーバン車両

都市間を結ぶ高速鉄道車両の開発・製造も行っています。CRH6型電車などが代表例です。

ライトレール車両

チェコのシュコダ・トランスポーテーションとの提携により、超低床電車のライセンス生産も行っています。青島有軌電車が代表例です。

技術提携と海外展開

同社は、川崎重工業、ボンバルディア、アルストム、三菱電機など、海外の有力企業と積極的に技術提携を行っています。また、シンガポール、香港、アルゼンチンなど、海外の鉄道プロジェクトにも積極的に参画しています。

まとめ

中国中車青島四方機車車輛は、100年以上の歴史を持つ鉄道車両メーカーであり、その技術力と生産能力は、中国の鉄道近代化を支える重要な役割を果たしています。今後も、技術革新とグローバル展開を通じて、世界の鉄道輸送に貢献していくことが期待されます。

参考文献

- 四方機車車輛廠史志編纂委員会編『四方機車車輛廠廠志』（1996年）
- 四方機車車輛廠史志編纂委員会編『世紀之路——四方機車車輛廠廠志図片集』（1996年）
- 中国南車年鑑編委会編『中国南方機車車輛工業集団公司年鑑 2008』（中国鉄道出版社 2009年）
- 中国南車股份有限公司招股説明書（2008年）
- 中国南車股份有限公司年報（2009年）

外部リンク

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