中央補給処

中央補給処とは

中央補給処（Central Logistics Depot）は、かつて東部方面隊の管轄下にあった陸上自衛隊の補給処および関連部隊の総称です。その役割は、陸上自衛隊の各部隊に対して、武器、施設、通信、需品、衛生といった多岐にわたる物資の補給・整備を行うことでした。しかし、1998年（平成10年）3月25日、組織の効率化と業務集約のため、中央補給処は補給統制本部と関東補給処へと改編され、その歴史に幕を閉じました。

概要

中央補給処は、陸上自衛隊の主要な補給機能を担う組織として、以下の補給処で構成されていました。

陸上自衛隊武器補給処
陸上自衛隊施設補給処
陸上自衛隊通信補給処
陸上自衛隊需品補給処
陸上自衛隊衛生補給処

これらの補給処は、それぞれ専門的な物資の調達・整備・補給を担当していました。各補給処の長は、武器補給処長が陸将、その他の補給処長が陸将補の階級で充てられ、所在する駐屯地の司令官も兼務していました。ただし、末期には廃止が決定していたため、大半の補給処長は1等陸佐（一）が務めていました。

中央補給処の廃止に伴い、陸上自衛隊における陸将補の定数は3名削減されました。これは、武器補給処長が補給統制本部長に、同副処長が補給統制本部副本部長および関東補給処長にそれぞれポストが変更されたためです。

沿革

中央補給処の歴史は、警察予備隊の時代に遡ります。

1952年（昭和27年）
7月20日：警察予備隊施設補給廠が松戸駐屯地に設置されました。
10月15日：保安隊が発足し、警察予備隊施設補給廠は保安隊施設補給しょうに改編されました。同時に、保安隊武器補給しょう、通信補給しょう、衛生補給しょうが旧・立川駐屯地に新編されました。また、需品補給しょうが宇治駐屯地から松戸駐屯地に移駐しました。
1954年（昭和29年）
1月20日：保安隊武器補給しょうが旧・立川駐屯地から霞ヶ浦駐屯地へ移駐し、霞ヶ浦駐屯地部隊長を兼務することになりました。2月11日には、武器補給しょうの開庁式が行われました。
2月15日：施設補給しょうが松戸駐屯地から北古河駐屯地に移駐しました。
1954年（昭和29年）7月1日：保安隊は陸上自衛隊に改編され、各補給しょうも陸上自衛隊武器補給処、施設補給処、通信補給処、需品補給処、衛生補給処に改称されました。
1955年（昭和30年）
5月14日：陸上自衛隊武器補給処高崎弾薬支処が新町駐屯地に、陸上自衛隊武器補給処西山弾薬支処がそれぞれ設置されました。
8月1日：高崎弾薬支処が吉井弾薬支処に改称されました。
1958年（昭和33年）
6月26日：通信補給処が旧・立川駐屯地から大宮駐屯地に移駐し、大宮駐屯司令職務が通信補給処長に移管されました。また、武器補給処隷下の西山弾薬支処および千両弾薬支処が陸上自衛隊関西地区補給処に編合されました。
8月20日：武器補給処大宮支処が大宮駐屯地に設置されました。
月日不明：需品補給処落下傘部が松戸駐屯地に創設されました。
1961年（昭和36年）
3月25日：富士燃料出張所が富士駐屯地から駒門駐屯地へ移駐しました。
8月17日：北古河駐屯地と南古河駐屯地が併合され、古河駐屯地となりました。
1963年（昭和38年）3月31日：衛生補給処が旧・立川駐屯地から用賀駐屯地へ移駐しました。
1965年（昭和40年）3月：吉井弾薬支処に弾薬類の試験研究機関として試験室が開設されました。
1995年（平成7年）10月1日：武器補給処大宮支処が廃止されました。
1997年（平成9年）
7月1日：松戸駐屯地司令職務が需品補給処長から需品学校長に、大宮駐屯地司令職務が通信補給処長から化学学校長に移管されました。
12月：陸上自衛隊資材統制隊が市ヶ谷駐屯地から十条駐屯地へ移駐しました。
1998年（平成10年）3月25日：中央補給処は、業務部門と調達・統制部門の集約一元化のため、補給統制本部および関東補給処に改編され、廃止されました。これに伴い、以下の再編が行われました。
陸上自衛隊資材統制隊と陸上自衛隊武器補給処十条支処を統合し、陸上自衛隊補給統制本部が新編されました。
陸上自衛隊武器補給処は廃止され、陸上自衛隊関東補給処に再編されました。
陸上自衛隊施設補給処は廃止され、陸上自衛隊関東補給処古河支処（施設部）に再編されました。
陸上自衛隊需品補給処は廃止され、陸上自衛隊関東補給処松戸支処（需品部および落下傘部）に再編されました。
陸上自衛隊通信補給処は廃止され、陸上自衛隊関東補給処の通信電子部として大宮駐屯地から霞ヶ浦駐屯地に移駐しました。
陸上自衛隊衛生補給処は廃止され、陸上自衛隊関東補給処用賀支処（衛生部）に再編されました。

廃止された機関等

中央補給処の廃止に伴い、以下の機関が廃止または再編されました。

陸上自衛隊資材統制隊（十条駐屯地）：陸上自衛隊補給統制本部の母体となりました。
陸上自衛隊武器補給処（霞ヶ浦駐屯地）：陸上自衛隊関東補給処の母体となりました。
大宮支処（大宮駐屯地）：1995年（平成7年）10月1日に廃止され、武処化学部として再編されました。（現関東処化学部）
十条支処（十条駐屯地）：資材統制隊と統合され、補給統制本部となり廃止されました。
吉井弾薬支処（吉井分屯地）：関東補給処吉井弾薬支処となりました。
富士弾薬出張所（富士駐屯地）：関東補給処富士弾薬出張所となりました。


以下の補給処及び支処・出張所は関東補給処に隷属する部及び支処に改編されました。

陸上自衛隊施設補給処（古河駐屯地）→ 古河支処（施設部）
陸上自衛隊通信補給処（大宮駐屯地）→ 霞ヶ浦へ移駐し、通信電子部に縮小
陸上自衛隊需品補給処（松戸駐屯地）→ 松戸支処（需品部および落下傘部）
朝日燃料支処（朝日分屯地）→ 朝日燃料支処
富士燃料出張所（駒門駐屯地）→ 富士燃料出張所
陸上自衛隊衛生補給処（用賀駐屯地）→ 用賀支処（衛生部）

関連項目

補給処

参考文献

* 防衛年鑑（1990～1998）及び自衛隊年鑑（1998）、官報情報検索サービス

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