中山忠愛

中山忠愛（なかやま ただなる）

中山忠愛は、江戸時代後期に活躍した公卿です。准大臣・中山忠能の長男として生まれ、激動の時代を生きました。字は子誠、号は東園と称しました。最終的な官位は従四位右近衛中将。維新後は華族となり、中山家25代当主を務めました。

生涯

中山忠愛は、文政12年（1829年）、公卿・中山忠能の長男として誕生しました。母は、平戸藩主・松浦清の十一女である愛子です。幼少の頃から学問に励み、順調に昇進を重ねます。

文久3年（1863年）には、右近衛中将にまで昇りつめます。しかし、その後の出来事が、中山忠愛の運命を大きく狂わせることになります。

同母弟である中山忠光が、天誅組の変を起こし、父・忠能から義絶されてしまいます。さらに、弟の正親町公董が三条実美と面会したことが問題視され、差控処分となります。これらの出来事により、父・忠能は半ば引退状態に追い込まれました。

翌年の元治元年（1864年）には、禁門の変が発生。中山忠能・忠愛父子は、長州藩に好意的な態度を取ったとして、朝廷への参内、他行、面会を禁じられ、失脚してしまいます。公卿としての活動を制限され、不遇の時代を過ごしました。

慶応3年（1867年）正月、孝明天皇の崩御と明治天皇の践祚にともない、大赦が行われました。禁門の変で処分された公家の多くが復権を果たしましたが、忠能・忠愛父子は、この赦免の対象に含まれませんでした。しかし、同年1月23日、忠能は赦免され、ようやく復権を果たします。忠愛自身も、慶応4年（1868年）3月19日に参与に任じられ、政治の舞台に復帰しました。

明治9年（1876年）には、長年務めた従四位の位階を返上し、公務から退きました。

明治15年（1882年）に54歳で亡くなりました。その功績を称えられ、祭粢料500円が下賜されました。

系譜

父：中山忠能
母：中山愛子 - 松浦清十一女
妻：不詳
長男：中山忠直
次男：中山孝麿
養子：中山忠光（義絶）

人物像

中山忠愛は、公卿として朝廷に仕えながらも、時代の波に翻弄された人物でした。弟の起こした事件や、禁門の変の影響で失脚するなど、不遇の時代を過ごしましたが、明治維新後には復権を果たし、参与として活躍しました。しかし、晩年は位階を返上し、静かに余生を送りました。激動の時代を生き抜いた公卿の一人として、その名は歴史に刻まれています。

参考文献

* 刑部芳則『公家たちの幕末維新-ペリー来航から華族誕生へ』中央公論新社〈中公新書〉、2018年。ISBN 978-4121024978。

もう一度検索