中島俊哉

中島 俊哉（なかしま としや）

1980年6月10日、福岡県筑後市に生まれた中島俊哉氏は、右投右打の外野手としてプロ野球界で活躍しました。小学6年生から本格的に野球の道を歩み始め、高校、大学を経てプロ入りを果たしています。

アマチュア時代の軌跡

福岡工大附高校（現在の福岡工大附城東高校）に進学すると、2年生の夏には「4番・一塁手」としてチームを第79回全国高等学校野球選手権大会へと導きました。この甲子園大会では打率.500と高い打撃成績を残しましたが、3回戦で強豪校に敗れ、惜しくもベスト8進出は叶いませんでした。当時のチームのエースは同級生の小椋真介氏でした。

高校卒業後は九州国際大学の硬式野球部へ進みます。大学4年次の2002年には主軸打者としてチームを牽引。大学野球選手権大会でベスト8に進出し、さらに明治神宮大会では、後にプロで活躍する久保裕也氏（東海大）から決勝点となる先制適時打を放つ活躍を見せ、チームはベスト4入りを果たしました。大学には、1学年下に嶋村一輝氏、3学年下に川島慶三氏といった、後にプロ入りする後輩たちがいました。

これらの実績が評価され、2002年のドラフト会議においてオリックス・ブルーウェーブから8巡目で指名を受けプロ入りが決定します。この入団は、オリックス球団が3年間採用していた「契約金ゼロ選手」という制度のもとで行われました。プロでのスタートは背番号「64」とともに切られました。

プロフェッショナルとしてのキャリア

オリックス時代

プロ入り最初の年である2003年は一軍での出場機会はありませんでしたが、ファームリーグであるウエスタン・リーグでは好成績を残し、フレッシュオールスターゲームにはサーパス神戸の一員として出場しました。

2004年、ついに一軍の舞台に立ちます。3月29日に行われた開幕戦で代打としてプロ初出場。7月8日の千葉ロッテマリーンズ戦でプロ初安打を記録しました。しかし、この年の一軍出場は6試合に留まりました。

東北楽天ゴールデンイーグルス時代

2004年オフの球界再編に伴う分配ドラフトにより、新球団である東北楽天ゴールデンイーグルスへ移籍することになります。オリックス時代と同じ背番号「64」を引き継ぎました。

楽天移籍後の2005年、2006年は肩の故障などもあり、二年連続で一軍出場を果たせませんでした。しかし、2007年には二軍での奮起が認められ、6月17日に3年ぶりとなる一軍登録を果たします。その日の横浜ベイスターズ戦に「8番・左翼手」として先発出場し、2回裏に逆転となる2点適時二塁打を放ち、プロ初打点をマーク。試合後には初のヒーローインタビューも経験しました。この年は怪我もあり、シーズン終盤に再び一軍へ復帰することはできませんでした。

転機が訪れたのは2008年です。シーズン序盤から一軍に帯同し、特に左投手に対する強さを買われ、「左投手キラー」として先発出場を重ねます。5月28日の読売ジャイアンツ戦で、プロ初本塁打を内海哲也氏から放ちました。さらに、6月3日の阪神タイガース戦では、本拠地Kスタ宮城でプロ2号となるホームランを放ち、再びお立ち台へ。このヒーローインタビュー中に、チームメイトから祝福のペットボトルシャワーを浴びせられ、その驚いた表情が翌日のスポーツ紙の一面を飾るというユニークなエピソードも生まれました。当時の野村克也監督からもその存在を認められるコメントを受けるなど、信頼を得ていきます。夏場以降は右投手相手にも先発起用される機会が増え、年間を通してほぼ一軍に定着。規定打席にはわずかに届かなかったものの、打率.315、5本塁打、25打点という好成績を残し、大きな成長を見せました。この年の活躍は高く評価され、日刊スポーツの担当記者が選ぶ「2008年楽天年間MVP」の野手部門に選ばれています。

2009年も前年同様、左投手対策として起用されますが、7月に左有鈎骨を骨折し、約2ヶ月間の離脱を余儀なくされました。これにより成績は前年を下回りましたが、クライマックスシリーズでは当時ソフトバンクのエースだった杉内俊哉氏から本塁打を放つなど、短期決戦での勝負強さを見せました。オフには結婚を発表し、翌シーズンからは礒部公一氏がつけていた背番号「8」を受け継ぎました。

2010年はキャンプ中に負傷し出遅れました。シーズン途中に一軍へ昇格するも、限られた打席数で結果が出せず再び二軍へ。同じ右打ちの外野手である牧田明久氏の台頭もあり、この年の一軍定着はなりませんでした。プライベートでは10月に第一子（長女）が誕生しています。

2011年は、相手先発が左投手ということもあり開幕スタメンを飾ります。この年の5月8日には、埼玉西武ライオンズ戦で帆足和幸氏から2年ぶりとなるホームランを記録しました。しかし、打率が一割台と低迷し、怪我で再び戦線を離脱。シーズン終盤に一軍に戻るも、調子を上げきれないままシーズンを終えました。

2012年5月30日の巨人戦では、楽天の先発投手田中将大氏が9回二死まで巨人打線を完璧に抑え、完全試合達成まであと一人という状況で、代打として登場。巨人移籍後初の対戦となった杉内俊哉氏とフルカウントまで粘り、四球を選んで出塁。これにより、田中将大氏の完全試合達成を阻止しました（記録はノーヒットノーラン）。この年は前半戦好調を維持しますが、後半戦に失速し二軍へ降格。シーズン終盤に一軍復帰を果たすも、目立った活躍はできませんでした。

2013年5月2日には第二子（長男）が誕生。6月9日の巨人戦では、プロ初本塁打を放った相手である内海哲也氏から、自身にとっては2年ぶりとなるホームランを打ちました。この年、楽天は球団史上初のパ・リーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズや日本シリーズといったポストシーズンでも、相手投手が左腕の場合にスタメンや代打で起用され、チームの日本一に貢献しました。シーズンオフには背番号が「52」に変更されました。

現役最後のシーズンとなった2014年は、出場試合がわずか4試合に留まりました。シーズン終了後の10月28日、球団から戦力外通告を受け、11月22日に現役からの引退を表明。11月27日に任意引退公示されました。ファン感謝祭では、温かい雰囲気の中で引退セレモニーが執り行われ、12年間のプロ野球生活に幕を下ろしました。

選手としての特徴

中島氏は、捉えれば長打力のある打撃が魅力でした。ツボに来た時の鋭い打球はスタンドまで届かせる力を持っていましたが、緩急を織り交ぜた投球に対する対応力に課題があるとされていました。しかし、強い手首に頼った強引な打撃スタイルから、2006年秋季キャンプ以降の打撃フォーム改善や、2008年春季キャンプでの構え方の変更（バットヘッドを投手側からバットを立てる形へ）により、対応力が向上しました。特に左投手に対する強さは特筆もので、「左キラー」として対左投手の切り札として重宝されました。かつてチームメイトだった森本稀哲氏は、上原浩治氏のYouTubeチャンネルで、「松坂世代ベストナイン」の指名打者として中島氏の名前を挙げています。

人物

愛称である「シャーパー」は、地元での練習中に使っていた「シャープにコンパクトに」という掛け声が由来となっています。オリックスのファーム時代にこの掛け声を発した際、チームメイトには全く通じず、それが逆にユニークな愛称として定着したそうです。

現役引退後

プロ野球選手としてのキャリアを終えた後も、中島氏は野球界との繋がりを保っています。2015年からは東北楽天ゴールデンイーグルスの球団職員となり、ジュニアコーチとして後進の育成に携わっています。また、同年2月にはレポーターとしてチームのキャンプに同行するなど、多方面で球団の活動を支えています。

野球に情熱を注ぎ続けた現役時代、特に楽天での「左キラー」としての活躍は、多くのファンの記憶に残っています。引退後も球団職員として活動する中島氏の、今後の野球界への貢献が期待されます。

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