中川忠英

中川忠英

中川忠英（なかがわ ただてる）は、宝暦3年（1753年）に生まれ、文政13年9月17日（1830年11月2日）に没した江戸時代後期の旗本です。中川忠易の五男として生まれ、幼名は勘三郎、字は子信、号は駿臺と称しました。官途は従五位下・飛騨守です。

経歴

明和4年（1767年）に1000石の家督を継ぎ、小普請支配組頭となりました。天明8年（1788年）には目付に就任し、布衣を許されています。寛政7年（1795年）2月には長崎奉行を拝命し、寛政9年（1797年）2月までその任を務めました。

長崎奉行時代には、手附出役の近藤重蔵らに命じて、唐通事（中国語通訳官）を動員し、清の江南や福建などから来た商人たちから風俗などを聞き取り、図説した『清俗紀聞』を編纂させ、これを監修しました。この書が出版されたのは、忠英が江戸に帰ってからのことです。

寛政9年（1797年）には勘定奉行となり、関東郡代を兼帯しました。享和3年（1803年）には、武蔵国栗橋宿に静御前の墓碑がないことを惜しみ、「静女之墳」の碑を建立しています。文化3年（1806年）には大目付に就任し（関東郡代兼帯）、文化4年（1807年）には蝦夷地へ派遣されました。文化8年（1811年）には、朝鮮通信使の応接も務めています。

その後、文政3年（1820年）に留守居役、旗奉行を歴任し、旗奉行在任中の文政13年（1830年）9月に78歳で亡くなりました。

正室は安藤信尹の娘であり、四男には小栗忠清の養子となった忠高がおり、その嫡男が小栗忠順です。遠山景晋、石川忠房と共に「文政三傑」と呼ばれ、文政年間の能吏として称えられました。

参考文献

清俗紀聞 1.2 平凡社東洋文庫 ISBN 4-582-80062-9、ISBN 4-582-80070-X
小川恭一編『寛政譜以降旗本家百科事典』東洋書林 1997年。

関連項目

鈴木重嶺

外部リンク

清俗紀聞（九州大学デジタルアーカイブ）

もう一度検索